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「子どもを産むのは痛いでしょうね」と聞かれた。聞いてきたのは一児のシングルマザー。何の話からそこにつながったのだったろう。彼女は帝王切開で子どもを産んだので、〝産みの苦しみ〟を知らないという。
「帝王切開でも大変じゃなかった?何しろお腹を切るのだし、術後の痛みがあったでしょう?」と返しながら、さて、私の経験した産みの苦しみはどんなだったかと思い巡らせた。
でも、覚えていない。ずいぶん前だからということもあるが、生まれてきた子どもを見たとたんに何もかもを忘れてしまったようだ。だから、性懲りもなく次の子どもを産んだのだと思う。
昔から、「障子の桟が見えなくなるまで」我慢しないと生まれないと言われてきたお産の痛みだが、それほど辛いものとは感じなかった。お産は子どもが生まれれば終わる。その先に喜びが約束されている。
それに対して、病気の痛みは先の見えない不安を伴う。歯が一本痛いだけでも生活のすべてが痛みに振り回され、いつまで続くか分からないと思うと痛みが増幅する。
「産みの苦しみより病気の痛みの方が辛いと私は思うわ」と言いながら、痛いのは嫌だなと思う。いつか大きな痛みを伴う病気になったとしたら、何とかしてそれを取り去ってほしいと切に願う。(舞)
2018年5月16日 PM 2:01