国の「再生可能エネルギー固定価格買取制度」が始まり、津市でも遊休地や高齢化などで管理が難しくなった農地を活用した太陽光発電のパネル設置が進んでいる。その一方、設置を規制する法令がないこともあり、津市でも業者と地域住民の間でトラブルに発展するケースも出ている。トラブルを未然に防ぐ意味でも、より細やかな条件を定めた国の法整備や自治体の条例など新たなルールが求められる。

 

 

業者と住民がトラブルとなっている高さ3mの太陽光パネル(奥)

業者と住民がトラブルとなっている高さ3mの太陽光パネル(奥)

太陽光発電は、平成24年に成立した再生可能エネルギー特別措置法に基づく、発電した電気を一定料金で電力会社が買い取る「再生可能エネルギー固定買取制度」の導入によって加速度的に普及している。
太陽光パネルは、住宅などの建造物と違い、電気工作物であるため、建築基準法や都市計画法の対象とならず、特別な許可を取る必要もない。そこで国や三重県でも太陽光発電計画策定や導入にあたってのガイドラインを定めており、計画段階から設置する地域との十分なコミュニケーションと住民への配慮を求める旨の条文を設けている。ただし、これらに法的な強制力はなく、結局のところは、業者と地域住民という当事者同士の話し合い頼みの構図となる。
そうなると土地の財産権を持つ設置業者側が法的に優位なこともあり、地域の要望との折り合いがつかないケースも発生。設置の増加に伴い、業者と住民との間での摩擦が生じたり、中にはトラブルにまで発展するケースも出てきている。
津市内でも実際にトラブルが発生しているのが津市一志町小山。現場周辺は、太陽光パネルが多く設置されている〝パネル銀座〟。昨年初夏に住宅地に隣接する農地を転用し、岐阜県の業者が太陽光パネルを設置した。しかし、周囲で最も高いパネルの倍近い約3mもあり、最も近い住宅では突如として1階居間から見える景色をさえぎる壁ができた状態に。更に近くのJR名松線の線路まで東側に約150mの間、複数業者が連続設置の動きを見せ、南側一帯の景観が完全に遮へいされる可能性が出てきた。
地域住民は設置計画の内容について全く聴かされていなかったため、業者に説明を求めたところ建設用地を売却した元地権者が住む小山自治会の会長には工事を始めるとの説明をしていた。しかし、当該箇所の地域住民は地理的な関係から隣の中屋敷自治会に属しており、計画内容が伝わらなかった。ここでのボタンの掛け違えがトラブルの発端となった。
そこで地域住民は、設置業者に要望し、昨年11月18日に、土地の仲介業者、これから隣地で計画をしている他の業者らも含め、説明会を開いた。
その中で、住民側から太陽光パネルの設置自体に反対はしないが、周囲のパネルに合わせ高さを1・6mまで下げる要望が出された。業者側はこれに対し、パネルの角度が変わると反射光で光害が発生、また設備の保全性に問題があるなどと反論。納得できない地域住民側は、光害発生の根拠となるデータ提示を求め、業者もこれを了承した。このような経緯から業者は既設パネル隣の新設工事を止めている。
データ提出に期限は設けられていなかったが、4か月を経て、痺れを切らした住民側は業者社長宛てに、今年3月初め配達証明郵便で要望書を提出。光害発生の根拠となるデータの提出、もしくは1・6mまでパネルを下げる確約を文書で3月末までに提出するよう求めたが返答はなし。住民側は業者に対する不信感を募らせた。
一方、業者側も住民側の求めた期限には応じなかったものの、要望について検討。パネルを住民の要求する1・6mまで下げて光害が発生した場合に再度上げるよう求めないという確約さえ得られれば、工事に必要な費用を、既設のパネルの周辺で設置計画のある業者と共に負担して工事を行うことと、新たに設置するパネル高も1・6mで統一する方向性で協議を進めている。業者側はそれら内容をまとめた文面と光害の発生根拠となる簡易なデータを5月初めに法律事務所を通じて内容証明郵便で中屋敷自治会長へ送付したが受け取られず戻ってきたとしている。自治会長は受取拒否していないと話しており、なんらかの手違いがあったのかもしれない。
先週末現在、お互いの不信感から良好なコミュニケーションが難しい状態だが高さ1・6mという着地点は一致しており、建設的な話し合いがなされれば、早期解決される可能性もある。
今回もそうだが、地方で太陽光発電普及が進むのは土地や農地の資産価値が低く、地権者の高齢化で管理どころか相続すらままならず放置される可能性があり、利活用策として有効だからだ。
しかし、その裏で置き去りにされがちなのが、田舎の唯一の財産ともいえる自然溢れる景観との調和という観点だ。これはより深く議論されるべき課題といえるだろう。
今回のトラブルも元を正せば、国が〝推進ありき〟で設置に関する規制を盛り込んだ法律を整備せず当事者任せにしたせいともいえる。景観との調和や地域住民との合意形成を前提とするなど、今以上に明確な基準を設けた法整備や自治体の条