知人からレジ袋いっぱいの実えんどうをもらった。剥いても剥いてもまだまだあって、さやから取り出した実はボールに山盛りになった。うれしい。私は青豆ごはんが大好きなのだ。
昆布と塩でシンプルに仕上げた青豆ごはんはこの季節のごちそう。糖質がどうのこうのという考えは脇によけて、お代わりをする。
青豆ごはんを食べるたびに思い出すのは、昔読んだアンデルセンの童話だ。ある国の王子様がどうしても本物のお姫様と結婚したいと思っていた。何人かのお姫様と会ったが、どこかお姫様とは思えない部分がある。ある日お城にひとりのお姫様がやってきた。王子様はえんどう豆を一個ベッドに置き、その上に布団を何枚も重ねてお姫様を寝かせた。朝、よく眠れたかと聞くと、お姫様は何か硬いものがあって眠れなかったと答えた。王子様はやっと本物のお姫様を見つけたと、彼女と結婚した。
これを読んだ小学生の頃の感想を、私は今でも覚えている。親切にしてもらったなら、少々の不自由は隠してよく眠れたと言うのが礼儀だろう。ぜいたくは美徳か。本物とは何か。私は王子様の考えにどうしても同意ができなかった。
いったいアンデルセンはこの童話で何が言いたかったのだろう。私はあれから百回以上青豆ごはんを食べたが、いまだに分からない。      (舞)