こんな会話がありました。「教科書貸してね」「り」もう一度言います。「教科書貸してね」「り」。
「ら、り、る、れ、ろ」の「り」の一文字です。皆さん、突然こんな会話を聞いたらどう思いますか?なんか奇妙ですね。「何を言いたいの?」とか、「そもそも言葉なの?」という人がほとんどだと思います。しかしこの言葉は、私が実際、若者によく使われている「LINE」での会話で、相手から届いたメッセージなのです。「り」、やっぱり奇妙な言葉です。
「数学の教科書を貸して!」ある日、私は、教科書を忘れてしまい友だちに借りようとこのように「LINE」で送信しました。「何時間目に貸せばいい?」「2時間目にお願い!」。「LINE」でも、ここまでは、会って話す時と同じ会話でした。
ところが返ってきたのは、「り」の1文字だったのです。私は、最初この「文字」が送られてきたときに、「打ち間違えたのかな?」と思って、次の言葉を待っていました。しかし、いくら待っても次のメッセージが来ないので「これは、何か意味があるのではないか」と、インターネットで検索をしてみました。そしたら、「SNS上で使われている、了解の意味の短縮形」なんだそうです。
この「り」が普通に使われるのであれば、ほかの言葉も、簡略して使われるのでしょうか。「ありがとう」を「あ」という風に、簡略するとします。「あ」だったら、「暑い」の意味にもなってしまいます。「ごめんなさい」を「ご」という風に簡略するとします。「ご」だったら、「豪華」の意味にもなってしまいます。「感謝」を「か」という風に簡略するとします。「か」だったら、「かなしい」など、マイナスの言葉にもなってしまうのです。
奇妙な言葉はほかにも見つかりました‼昔から、笑いを表現する言葉に「かっこわらい」(笑)は、よく使われていますが、今は笑いの頭文字Wを、3つ以上連続して並べると、草が生えているように見えることから笑いを一言で「草」と言うのだそうです。これらの言葉は現代の若者の一部で使われているようです。
しかし、「り」やWを知らない人は会話が成り立つのでしょうか。これらの奇妙な言葉は、この言葉を送る人が楽にできるように作られただけであって、これを知らない人のことは考えられていないと思います。「でもこれって、SNS上のことであって、日常会話では使わないじゃないか」と思うかもしれません。
日常会話でも、「奇妙な言葉」がありました。今、女子高校生の間で流行っている「まんじ」というのがあります。使い方は、とても簡単です。意味はいくつかあるらしいのですが、その中でも印象に残ったものを上げたいと思います。友だちが鞄に新しいキーホルダーをつけてきました。それがものすごくかわいいので、こういいます。「まじ、まんじ‼」意味が分かりますか?「まじ」は、「本当に」と言う意味として使われていますが、「まんじ」は「かわいい」という意味に代わるのだそうです。私には、理解できません。使い勝手が良いと流行っているらしいのですが、果たして本当にそうでしょうか。
「美しい言葉を使いましょう」。子どもは、周りの大人がしゃべっている言葉をまねすることによって、言葉を覚えていきます。そんな時に大人たちが、こんな若者言葉や簡略語を使っていたら、子どもは一体、どうなるでしょうか。
簡略語は、正しい言葉ではありません。昔の人は、モノを褒める言葉でも、「素敵」、「綺麗」、「華麗」など、その時の気持ちをいかに相手に伝えられるかを考え、このような美しい言葉が大人から子どもへと受け継がれてきたのではないのでしょうか。もともと言葉は「感動した」「嬉しかった」「楽しかった」「悲しかった」などの気持ちを相手に伝えたくて、知ってほしくて、分かってほしくて、理解してほしいがためにできたものだと思います。こんな美しい言葉があることを知らずに、簡略語しか知らない子どもが大人になったら一体どうなるのでしょうか。
では、みなさんに質問です。「どうしたら美しい言葉が身に付くと思いますか。」簡単です。簡略語を使わず、このきれいな言葉で日々気持ちを伝えればいいのです。本を読むだけで正しい言葉が身に着くと勘違いしている人もいると思いますが、実際に使わないと本当の意味では身に着かないでしょう。
最後に。人に自分の気持ちをしっかりと伝えて。そして、美しい日本の言葉がこの先も残っていくように。