65歳以上の人が今年4月より支払う介護保険料の基準額の見直しが行われた。全国平均が月額5869円に対し、三重県平均は6104円。津市は月額6456円と、どちらも平均を上回る結果となった。介護保険制度が始まった平成12年には月額3152円だったものが、わずか18年で倍以上に伸びており、今後も高齢化の加速に従い、上昇は確実。より多くの市民が地域の状況に目を向けることも必要となる。

 

トップの表 トップの表 市町村や広域連合ごとに定められている65歳以上の介護保険料基準額の見直しは、3年に一度行われている。
今回の都道府県平均月額は5869円で前回より355円(6・4%)の値上げとなった。最も高かったのは沖縄の6854円で、最低の埼玉県5084円まで大きな差が生まれている。三重県は6104円(前回5514円)と平均を少し上回っている。
三重県内に目を向けると、四日市市と朝日町を除く市町と広域連合で値上げが行われている。保険料は最低の東員町4746円から最高の大台町7400円と大きな開きがある。津市は前回から289円アップの6456円(前回6167円)で県内では上から8番目。とは言え、全国平均を1割ほど上回る結果となった。制度が始まった平成12年度に月額3152円だったので、2倍以上にまで上がっている。
介護保険制度は、大まかに言うと国、県、市の支出金と、65歳以上の保険料と、64歳から40歳までの保険料によって運営されている。65歳以上の保険料は、介護報酬の改定に合わせて行われており、3年間で利用される介護サービス料を予測して算出される。ここに各市町村が管理する保険料の一部を積み立てた財政安定化基金を取り崩した資金を加え、保険料の上昇を抑えるケースも多く津市は今回5億7000万円を投入している。
なぜ保険料に格差が生まれるか一概には言い切ることはできないが、要支援・要介護認定を受けている高齢者を多く抱えるケースが多い。つまり介護サービスの利用が多いということだ。津市の保険料が平均を上回った理由もそこにある。
平成30年度の津市の総人口が27万9460人のうち65歳以上の人口は8万593人。うち75歳以上の4万2057人。高齢化率28・8%で75歳以上比率は15%。そして、要支援・要介護認定者数の見込みは1万7607人で認定率は21・5%。これは今後も伸び続けるのは確実で、団塊の世代が75歳以上になる2025年には人口が26万5636人まで減少。高齢者数は8万386人と横ばいだが75歳以上人口は4万7434人。高齢化率30・3%、75歳以上比率は17・9%まで増加する。
国の試算によると保険料の平均額は2025年に約7200円、高齢化のピークを迎える2040年度には約9200円まで増加するとされている。津市も保険料の上昇を抑制するために、介護予防事業などを行っているが、人口構成上の問題であるため、特効薬とはなり難い。
もちろん、入所待機者の解消など適切な介護サービスの提供や介護労働者の雇用環境の改善などは大前提。国全体が抱える問題とは言え、自分達の暮らす地域の状況に多くの市民が目を向け、どうしていくのか考えることも重要と言える。