国道163号から望む木津川の風景

国道163号から望む木津川の風景

「笠置トンネル」

「笠置トンネル」

京都府相楽郡笠置町は人口1400人足らずで町としての規模は全国屈指の小ささ。人口は南山城村の半分しかない。
町名の由来は諸説あるようだが、今昔物語集には次のようなエピソードが記されている。天智天皇の皇子である大友皇子が鹿狩りでこの地に訪れた際、馬にまたがり、夢中になって矢を射ていると気づけば断崖絶壁で立ち往生していた。絶対絶命の皇子は山の神に助け乞う代わりに、その場所にある巨岩に弥勒菩薩の像を掘ると誓った。
その後、神の力で難を逃れることができた皇子が再び訪れる際の目印に自らの笠を置いたことから笠置という地名が生まれたとされる。1300年以上の歴史を持つ地域の古刹・笠置寺の本尊の弥勒摩崖仏はこの時、掘ったものとこのエピソードには記されている。
国道163号沿いの風景は南山城村内が山の印象が強いのと比べると、笠置町内は国道がずっと木津川に沿って走っているので川の印象が強い。
笠置一帯は、江戸時代に藤堂藩の飛び地だったので、津市とも縁のある地域。木津とはその名の通り、木材が集まる津(港)という意味。古くは、藤原京や平城京の造営時に宮殿や大寺院の建築用木材が上流の山から切り出された木材を筏で運んだ。この地域はまさに川と共に歩んできた。
近畿地方随一の川である淀川へと流れ込む木津川は、清流と呼ぶにふさわしい澄んだ水をたたえている。日暮れも近づき徐々に黄みがかっていく光の粒が水面で踊る様がなんとも美しい。街道を多くの人が徒歩で行きかっていた頃から幾年月 を経て、道や町は生まれ変わったが、この美しい光景は同じはず。
川沿いに広がる集落を抜けると笠置トンネルに差し掛かる。延長約750mと決して長くは無いが、内部は歩道が整備されているので危なげなく歩行できる。ちなみにネットで検索をかけると、このトンネルも御多分に漏れず心霊スポットにリストアップされている。
長野トンネルの時も書いたが、なぜ各地のトンネルが心霊スポットとして認識されやすいのかを私なりに推察すると、古来より日本神話の黄泉の国やギリシア神話の冥府など、死者が暮らす国は地下にあるのが相場と決まっているからである。土中を走るトンネルは、この世とあの世の境界線というイメージを持たれがちなのだろう。普段人気の無いトンネル内で偶然歩いている歩行者を見かけると幽霊と勘違いされ、そういった話に尾ひれがついて拡散されていくのだ。ちなみにこのトンネル供用前に使われていた国道の旧道沿いには廃墟となったホテルがあり、そこは有名な心霊スポットである。
トンネルを抜けると、日が更に傾き、赤い光がが降り注ぎ始めている。今日の目的地の笠置駅はもう目と鼻の先だ。(本紙報道部長・麻生純矢)

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▼久保舎己─木版画─展=~10、三重画廊
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▼第1回ママ・ちびマルシェ、第25回クラフト&雑貨マルシェ=15~17、メッセウイングみえ
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▼建築家展~週末はASJのイベントに行こう=8~10、県総文第2G

色とりどりのあじさいの花

色とりどりのあじさいの花

津市戸木町の伊勢温泉ゴルフクラブ内にある福祉と環境を融合した花園「かざはやの里」が恒例の『あじさいまつり』を開催中。7月1日まで。
広大な敷地にアジサイ39種7万5千株が植えられており、社会福祉法人・正寿会が運営する障害者施設の職員や利用者も管理を手伝っている福祉園芸の実践の場。
青・赤・白と色とりどりの花が咲き乱れており、今年は例年より早く満開を迎えたため、今週がちょうど見頃。園内には足湯も設置されており、花と共に楽しめる。
入場には利用者たちへ支援費として300円が必要(18歳未満や障害者手帳を持っている人は無料)。開園時間は8時~17時。問い合わせ☎059・255・5755。

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