子どもたちが家を離れて久しいのに、まだいろんなものが残っている。消しゴムやかわいい小物やプラモデルや陶器のオルゴール。
オルゴールのネジを巻いて鳴らしてみた。曲目は「エリーゼのために」。子どもはそんなには喜ばず、長らくおもちゃ箱の底にあった。私がそれを拾って、今は飾り棚に。
子どもの頃、私もオルゴールを持っていた。木製の小物入れで、箱のふたを開けるとトロイメライが流れた。姉からのお下がりだったけど、大事にしていて、何度もネジを巻いてポロポロロンと流れる音を聞いたものだ。
その頃は子どものおもちゃのほとんどにゼンマイが使われていた。ブリキの自動車、お風呂の舟ももちろんゼンマイで動いた。おもちゃだけでなく、柱時計も一日に一度ネジを巻いた。
ネジを巻く、そのエネルギーをゼンマイに蓄えて、小舟のスクリューを回す。オルゴールの筒を回す。時計の針を動かす。
人のエネルギーを蓄えるシステムもすごいと思うが、一気にエネルギーを放出するのではなく、少しずつエネルギーを使って正確な時を刻む振り子時計の制御システムは素晴らしいと思う。
ゼンマイの「ネジを巻く」作業は、今では私の日常から姿を消し、慣用句として存在するだけとなった。ゼンマイはなかなか面白い仕組みだと思うのだけど。 (舞)