2018年8月

 谷川士清の会では、会員が研究したものを発表する場として「勉強会」を設けています。一般公開をして広く質問をいただき発表者がお答えする「講演会」でなく、あくまでも会員の勉強の場として発表者と参加者の意見交換を軸に共に意識を高めていく主旨で、もう十年ほどになります。私は国文学は専門外ですが、代表、そして今は顧問の立場から、これなら取り組めるかなと思えるテーマを選び、数回発表してきました。昨年から『勾玉考』について勉強し発表しています。
谷川士清の会が発足以来、顧問として会員に士清の基礎知識を教授してくださった故三ツ村健吉先生が平成十四年十月に津中央公民館で二度「谷川士清著『勾玉考』をめぐって」の演題で講演されました。私はその時、まだ県立高校の数学の講師をしており出席できず、先生に後からプリントだけいただきました。先生の書き下し文と意訳が書かれており、一通り目を通し「むずかしいな、でも士清さんはこんな変わった内容の本も書かれたんだな。又改めて時間のある時、しっかり読み直そう」とファイルに入れ、そのままになっていました。
二年前、津市図書館で『勾玉考』の原本を拝見し、珍しい石の名前、見慣れた地方名等、二十六頁ばかりの小著の中身に興味をそそられ図書館に足繁く通い、難しい漢文との対話を始めた次第です。士清さんは神道家でしたので習慣として下書きや書き損じは反古塚に埋めました。『勾玉考』も『倭訓栞』等と一緒に反古塚に埋められました。士清さんにとって『勾玉考』は小著といえども大事な著作であることがわかります。
『近世国語学者の研究』北岡四良著の中に(有名な近江の木内石亭の『雲根志』の『雲根志相違御落握云々』の文辞で「伊勢国津に奇石を翫ぶ人、谷川氏、福田氏、岡氏、菊池氏等あり、此人々鯛魚の腹中に得たる石を珍蔵する云々」とあります)人物は谷川士清、福田正芳、岡藤左衛門、菊池宗雨のこと。士清さんの周辺には富裕な階層の間に奇石を集めて愛でる弄石家がいたようです。また、赤尾元圭に士清さんの方から石についての書簡を出しています。士清さんは弄石趣味だけにとどめず、日本書紀や風土記の研究をより実証的にするために位置付けていたようです。
以下、『勾玉考』に出てくる地名と書物名をあげてみます。ここにも士清さんの並外れた研究態度が窺えます。
  地名
○大和の国城上郡釜口山長岳寺(奈良県天理市にある高野山真言宗の寺)
○三輪山(奈良盆地をめぐる形の良い円錐形の山)
○筑紫(九州)
○蝦夷(北海道)
○近江州(滋賀県)
〇尾州(尾張)
○遠州敷地郡(静岡県)
○葛下郡(奈良県にあった郡)
○長瀬神社(鈴鹿市長沢町にある)
○安濃郡長岡山(津市長岡町北部丘陵)
○安濃郡五百野邑(津市五百野)
  書物
○神代紀  ○儀式帳
○古事記  ○萬葉集
○姓氏録  ○芸文類聚
○本草綱目 ○聖武紀
○崇神記  ○周礼
○神武紀  ○文海披抄○恠神録  ○三韓伝
不思議なことに、いつも士清の書籍にふれたり、士清研究の書籍をよむとき、あのふくよかなお顔が浮かんできます。
今年のように暑い夏ではないにしても、夏の間はどのように涼をとられていましたかとお聞きしたくなります。(谷川士清の会顧問)

知れば知るほどおもしろい!古典芸能を「偏愛」する二人のトーク&レクチャーします!
三重県総合文化センターは9月9日㈰14時~16時(受付開始13時半~)、生涯学習センター2階視聴覚室で、歌舞伎や浄瑠璃の演目でもある伊勢の名作古典「伊勢音頭恋寝刃(いせおんどこいのねたば)」をテーマにした「おしゃべり古典サロン」を開くにあたり参加者を募集している。
講師は、中村七之助主演・コクーン歌舞伎「切られ与三」の補綴を務め、8月27日に放送されたNHK「100分de名著」百人一首の回でも解説者として出演した木ノ下歌舞伎主宰の木ノ下裕一氏と、三重大学人文学部の田中綾乃准教授。
『伊勢音頭恋寝刃』は、寛政八年(1796)7月に大坂角の芝居で初演された。この物語は、同年5月に伊勢古市の遊郭・油屋で医師の孫福斎が実際に起こした殺人事件を題材にしている。
「古市十人斬り」といわれるこの事件は、すぐに伝えられて、各地で芝居にされた。当時の芝居は、ニュースの役割を担っていた。その中でも『伊勢音頭恋寝刃』は、上方、江戸でも人気の作品として評判となり、その後、人形浄瑠璃にもなり、今に残っている。
当日は、御家騒動、遊郭の風情、男女の恋と縁切り、妖刀での殺し場など、伊勢を舞台に展開するサスペンスドラマ、全四幕七場の今作の見所と魅力を楽しく、わかりやすく紹介する。
料金は1000円(当日受付にて支払い)、定員150名に達し次第締め切り。電話・窓口は、同会館チケットカウンター☎059・233・1122、FAX059・233・1106、件名を「おしゃべり古典サロン申込」と明記。
郵送の場合は、〒514の0061、津市一身田上津部田1234 三重県文化会館「おしゃべり古典サロン係」宛へ。 WEBでの申し込みは同会館サイト(https://www.center-mie.or.jp/bunka/invite)から。
問い合わせは同会館☎津233・1122へ。

ととつりあい(志摩市)

ととつりあい(志摩市)

御宮踊り(津市)

御宮踊り(津市)

ざるやぶり神事(津市)

ざるやぶり神事(津市)

津市白山町在住の会社員、北出正之さん(64)がこのほど、県内各地の祭事を収録したDVD写真集「三重の祭唄(まつりうた)」を制作した。
北出さんは10代の頃から写真撮影活動を始め、全国の風景写真をメインに撮影してきた。近年は三重県内の祭事に魅力を感じ、7、8年前から県内の祭りや伝統行事を中心に写真取材を重ねてきた。
その過程で人口減少や高齢化など、急激に変化する地域社会の現状にありながら、祭りは住民の祈りや願いのよりどころとして、懸命に守り継がれていることを実感。地域を支える大切な絆であることも再確認した。中にはいったん途切れた祭りを復活させた住民の熱意に接することもあったという。
その一方で、社会の変化に耐えきれず、規模の縮小や簡略化に追い込まれるばかりか、存続が困難になった祭りのいくつかも目の当たりにした。
このような変化の中で撮り続けてきた写真は、その日その時をありのままに捉えた作品であると同時に、次世代に残すに相応の価値があるとの思いから、作品集であるとともに、記録としての観点を重視した写真集の制作を企画。2枚組のDVDにまとめた。
内容は、三重県内に伝承される祭りや伝統行事などの祭事443件を、1993年10月から2018年3月まで、延べ615回の取材で撮影した写真(推計5万枚以上)の中から、1383点を選定して収録。県内を北勢・中勢・伊賀・伊勢志摩・東紀州の5エリアに分けて1月から紹介。奉納する行事だけでなく祭りに関わる人々にも焦点を当てている。
今回、制作した300セットは、参考資料として研究機関や県・市町の関連部署に寄贈するほか、地元の保存会などに配布する予定で、「今後の情報収集ツールにもしたいと思います」と話す。
また、希望者にはホームページを窓口として実費にて頒布する。
実費での送付希望者は北出さんのホームページhttp://mkitade-film.jp=から申し込むことができる。
問い合わせは北出さん☎090・7862・1781へ。

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