いろいろな兆候が表れています。低金利による本業の収益悪化・人員削減・統廃合による店舗数の縮小・店舗資産価値の減少などです。
 日銀の低金利政策により貸出金利低下が収益を圧迫し、メガバンクグループの2017年4月―12月期連結業績で傘下銀行の業務純益は、マイナス金利導入前の15年4月―12月期と比べ約3割減っています。2019年3月期の純利益目標は3メガ銀行ともに前年度実績を下回る予想を出しています。
同様、上場している地銀(80社)の最終利益も、2018年3月期は5年ぶりに1兆円を割り込み、6割の地銀が減益、19年3月期も1兆円を下回り7割が減益見通しと予想されます。
 人員削減では、みずほ銀行は2026年度までにグループの従業員数を1万9千人削減し、現在の約7万9千人から6万人に、三菱UFJ銀行は2023年までに現在約3万人の従業員の3割に当たる9500人分の業務を削減、 三井住友銀行も現在2万9千人を2020年度までに4000人分の業務削減を発表、3社合計で3万2500人の大リストラの規模です。
 人材サービス大手リクルートキャリアに転職希望者として新たに登録した銀行員数は、2017年度上期(4~9月)に前年同期比で約3割増加し、その後も増え続ける勢いだそうです。転職相談をしている銀行員は業界全体で数千人規模に上るとみられます。
 店舗数の縮小では、みずほ銀行は現在約500拠点ある店舗数を2024年度末までに2割の約100拠点も減らす見通し、三菱UFJ銀行は2023年までに現状の515店舗から半減し、従来型と銀行や信託証券との共同店舗やセルフ型の3つに分ける、三井住友銀行は今後3年間かけて全店舗を次世代型店舗に移行大幅な人員削減を図る。
背景にはインターネットバンキングやコンビニATMの定着で、来店者数はこの10年で4割も減っているという現状があります。
 店舗資産価値の減少では、全国に銀行が持つ1万3千を超える店舗やシステムが経営を揺るがしかねない存在になってきています。窓口業務など収益性が下がって価値が目減りした資産の減損処理を迫られ、赤字に転落する銀行も出てきています。
全国で10兆円に上る銀行の固定資産の「不良資産化」に金融庁も監視を強めているそうです。
17年9月末の地銀・第二地銀の有形固定資産は計3兆4423億円、これに対し過去10年平均の純利益は7千億円台しかない現状があります。
 地方の高齢化と人口減少が店舗の不良資産化と貸し出し減少を更に悪化させています。最近の相次ぐ地方銀行再編の背景には、人口減少、地方経済の停滞などが挙げられます。人口が減少し、高齢化を迎えた地方の経済は、地元企業の設備投資の減少、地銀の融資の縮小を招いています。
資産運用アドバイザー 宮 﨑  英 寿  (次号に続く)