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犬や猫などのペットと共に暮らす家庭は多いが、災害発生時に避難所へ連れて行くべきかなど、重要なことが余り認知されていない。環境省では、数々の災害で得た教訓として、ペットと共に避難所に行く同行避難を勧め、ガイドラインも公開している。津市でも多くのペットが飼育されており、南海トラフ大地震発生が危惧される中、大切な家族の一員を守るために、なにが必要かを今一度考える必要がある。
三重県は県民100人当たりの犬の飼育頭数が毎年全国で1、2を争うほどの犬好きな土地柄。猫については登録制度がないので公的に飼育数が把握されていないが、近年の猫ブームもあり、犬以上の数が飼育されている可能性もある。
三重県では、南海トラフ地震による被害が危惧されており、防災意識が高まっている。また、最近では集中豪雨や台風などの風水害で自宅からの避難を余儀なくされるケースも発生している。そのような状況下で意外な盲点となっているのが、災害時に飼い主が取るべきペットの扱いだ。
それを示す一例をあげると、先日の台風21号の際、市内各地で避難所が開設されたが、津市の災害対策本部に「ペットを避難させても良いか」という問い合わせが多数寄せられたことがある。津市の地域防災計画や避難所運営マニュアルには、犬や猫などのペットの飼育場所を避難所の屋外に設けることが記されており、動物が苦手な人やアレルギーを持つ人への配慮は前提としながらも基本的に受け入れている。
環境省の「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」でも、過去の災害の教訓から飼い主とペットが避難所へ行く「同行避難」を勧めている。その理由としては、飼い主と離れ離れになった動物が死亡する可能性があることなど動物愛護的な観点にとどまらず、後から保護するために多大な労力が必要なことや野生化した動物が人間に襲い掛かるなど、公衆衛生上の問題になってしまう可能性があるからだ。東日本大震災の被災地では、同行避難の考えが浸透しなかったために様々な問題が発生した。
飼い主としても、避難生活に備えた準備が必要で、基本的なしつけはもちろん、ペットを避難所に連れていくためのケージやバッグの準備、被災直後はペットにまで配給が行き届かない可能性が高いので、5日間分以上のフードや水などの備蓄が推奨されている。
津市でも、地域防災計画の今年度の修正で、避難所のペットの飼育場所を原則屋外としながらも管理者の裁量によって屋内にも飼育場所をつくることができるよう修正を検討している。
今後、市による飼い主への啓発活動の強化だけでなく、地域の避難訓練もペットを交えて行ったり、各避難所の受け入れられる数も考えなければならない。大切な家族の一員であるペットを災害から守るために何をすべきか改めて考える必要があるといえよう。
2018年9月20日 AM 5:00