「自死遺族サポート ガーベラ会」は夫を自死で亡くした松下恵美さん(58、松阪市)が2011年発足。津・松阪市で自死遺族の集い「わかちあいの会」を開き自死遺族の支援に取り組んでいる。一方、会の知名度向上や、遺族の年代別の対応が課題で、先月、慈善演奏会を初開催。活動内容を広めると共に、松下さんが医療・行政・法律など様々な分野の機関・個人による総合的な支援の必要性を訴えた。

 

慈善演奏会で話す松下さん(右)と柳瀨さん

慈善演奏会で話す松下さん(右)と柳瀨さん

ガーベラ会を支援する4名も出演

ガーベラ会を支援する4名も出演

三重県では年間約350人前後が自殺で亡くなっていて、自死遺族の数はその数倍に上る。遺された人は、悲しみ、家族が亡くなっている現場を見てしまったというトラウマ、身体の不調、自殺に対する周囲の偏見、経済的な不安など、様々な困難を経験する。
県は8年以上前から自死遺族支援のため2ケ月に1回、保健師などが進行する「わかちあいの会」を開催。毎回数名が参加しているが、遺族同士でないと理解できない心情があるため、担当者は当事者による自助グループの発足を望んでいた。
一方、松下さんは2004年、小学校からの同級生で無二の親友でもあり、当時43歳だった夫を自死で亡くし、一時は後追いも考えたが、大学生と高校を卒業したばかりだった2人の息子の将来を考え、状況を客観視し対応したいと心理カウンセラーの講座で学んだ。
そして、自身の経験から自助グループの必要性を実感し、2011年に「自死遺族サポート ガーベラ会」を設立。自死遺族が集まり安心して胸のうちを語り合い、思いをわかち合う「わかちあいの会」を津・松阪市などで毎月1回開き、今月で81回目。開催当初からの参加者が、新規参加者をサポートしようと自身の体験を話している。
松下さんは働きながらほぼ一人でガーベラ会を運営し、自死遺族や自殺を考えている人からの相談にも電話や直接会い対応。今までに約100名の遺族と話した。これら熱心な活動により、外部からの支援も広がりつつある。
一方、知名度向上が同会の課題。また自死遺族は、当事の年代や、親子や夫婦など亡くなった人との関係によっても経験する困難が異なるため、同じような年代や立場の当事者同士の相互支援が必要だが、同会だけで対応できる範囲は限られている。
そこで同会は先月、津市の高田会館で活動の周知などを目的にチャリティーコンサートを初開催。松下さんが自身の体験を語り「自死遺族の方は自分は独りだと感じているが、助けてほしいという思いもあります。医療機関・行政・弁護士・司法書士などによる総合的な支援が必要です。自死について小さな事でも良いので考え、救える命がある事に向き合って頂けたら」と呼びかけた。
また16歳のとき母を自死で亡くし、10代の自死遺族のサポートで松下さんを支援している柳瀨諒さん(22、皇學館大学4年)も出演。「若い世代の自死遺族で互いにサポートする活動をしている人は少ない。その中で、私は、自分が今後どうやって生きていくのかの答えを見つけたい。サポートする活動が、自分を見つめ直す事にも繋がっています」と話した。
そして寺の住職や鍼灸サロン院長など、同会を支援する4名も登壇し、同会との関わりについてトーク。自死遺族のサポートが、幅広い分野で可能な事が示された。
同会への問い合わせはメールでmie.gabera@gmail.comへ。