東京・三井記念美術館で展示されている白山町川口瀬古区の「木造十一面観音立像」

東京・三井記念美術館で展示されている白山町川口瀬古区の「木造十一面観音立像」

津市白山町川口の瀬古区にあった高田寺(現在は瀬古集会所)で収蔵の国指定重要文化財「木造十一面観音立像」(地元では「たかだちのかんのんさん」と呼ぶ)が、東京都中央区日本橋にある「三井記念美術館」で開かれている特別展「『仏像の姿』~微笑む・飾る・踊る~」で展示されている。
高田寺は七堂伽藍を備えた大寺院であったというが、戦国時代に焼かれ、江戸時代を通して細々と存続したものの、近代初期に廃寺となった。
その後、集会所ができ、高田寺の旧仏「十一面観音立像」を安置して今に至ったという。現在の建物は1992年に建てられている。
同観音像は平成元年1月、三重大学の調査で文化財級のものであることが明らかとなり、その後、文化庁をはじめ多くの研究者の調査を経て、平成3年6月21日に国指定重要文化財に指定された。
瀬古区では毎年1月と8月の17日の夜に開帳し、お供えを上げ、西国三十三ケ所のご詠歌を唱えて祀っている。
全国的にも注目されている仏像であることから各地から拝観希望があるものの、開帳日以外は断ってきたが、三井記念美術館の清水眞澄館長が直接同区を訪れ、同展覧会の主旨を説明した上で出品の依頼をしたため、8月の区会で出品を許可。同観音像がいかに貴重な文化財であるか改めて確認された。
同展覧会は、日本に古来から伝わる多くの魅力的な仏像の作者である「仏師」の豊かな感性と独創性、そして高度な技術に光を当て、特に仏像の「顔」「装飾」「動きとポーズ」を切り口に、日本人の心と創造力を様々な角度から紹介している。会期は11月25日㈰まで。一般1300円、大学・高校生800円、中学生以下は無料。月曜定休。