「すいり」というズイキの料理がある。たぶん「酢煎り」と書くのだろうが、何十年も前に義母から教わったレシピで、その時漢字を聞いておかなかったから、いまだに分からないままである。
産直で赤ズイキを買ってきた。皮を剥いたり、アクを抜いたりの下ごしらえが面倒で、ズイキにはめったに手を出さないのだが、このところの野菜品薄状態に、つい買ってしまった。
家に帰ってすぐに皮を剥いた。茎をポキポキ折りながら皮を引くと簡単に皮が剥ける。塩を振りかけ、ギュッギュッと揉んでから、熱湯に入れて数分茹でる。水にさらして、アク抜きが終了。でも、気が付けば指先が真っ黒になっていた。明日の仕事にこんな手で行くなんて……。
アク抜きの後は、普通に甘辛の煮物にする。最後に酢を入れるのが、義母のレシピ。だから「酢煎り」というのだろう。酢を入れたとたんに、ぱあっと鮮やかな赤色が広がった。
夫は一口食べて「こんなんじゃなかった。もっと酸っぱかったはず」と言った。私は「酢が少ない方がおいしい」と言い張ってお仕舞いにしたけれど、やはりおふくろの味にはかなわないのである。
それにしても、いつまでたっても男はもう……。小言の前に言うことがあるだろう。懐かしい料理だねとか、手が汚れて大変だったねとか。    (舞)