2018年10月

「アライグマ」の被害が広がり続けている。繁殖力旺盛で食べる物を余り選ばず、ねぐらとなる空き家の増加などもあり、農作物の食害だけではなく、市街地での住宅の侵入などの被害が増加しているという部分で他の獣害と一線を画す。特定外来生物にも指定されていることもあり、津市では捕獲用の小型檻を毎年増やし、貸し出しているが、被害拡大を防ぐためには市民の協力は不可欠となる。

 

捕獲されたアライグマ(津市提供)

捕獲されたアライグマ(津市提供)

アライグマの足跡(津市提供)

アライグマの足跡(津市提供)

北米原産であるアライグマは、虫や小動物から植物まで食べるものを余り選ばない雑食性で雌は生後1年ほどで成熟し、一度に3~6匹も出産できる。国内に天敵もいないため、全国で生息域が拡大しており、許可なく飼育や移動などができない特定外来生物にも指定されている。環境省の調査でも10年前と比べると生息域が3倍に拡大。三重県内でも生息域の拡大が確認されている。
津市では平成24年に香良洲地区のナシ畑が被害にあうまで目立った被害が無かったが、あっという間に市内全域へと被害範囲が拡大。ナシ、スイカ、ラッカセイなど、果物や野菜への農業被害に留まらず、最近では観音寺町や上浜町などの市街地で、住宅への侵入被害が増加している。
アライグマは手先が器用で高所に上ったり、狭い場所から侵入するのはお手の物。雨風がしのげる住宅の天井裏や屋根裏に侵入し、ねぐらとしたり、繁殖することが多い。津市でも天井裏にねぐらをつくられ、多くのアライグマの排泄物で酷い状態になったケースも。
また、市街地では餌となる残飯が季節に関係なく手に入るだけでなく、ねぐらにできる空き家が増加。むしろ、山中など純粋な自然環境下よりも市街地周辺はアライグマが住みやすい環境が整っているともいえる。
津市は対策として、平成27年に防除計画を策定し、捕獲用の小型檻の市民への貸出を開始。当初60基だったが、ニーズに追い付かず、現在では約160基まで増加。それでも絶えず、貸し出しが行われている状態。捕獲頭数も平成28年度に89頭、平成29年度は135頭、今年度は8月末で56頭と檻を増やせば増やすほど、増えている。
アライグマはねぐらさえ特定できれば、檻をしかけて捕獲することは比較的容易だが、市街地周辺で不特定多数の人々が通る場所は危険が伴うため、設置場所を選ぶ。シカ、イノシシ、サルとは違った意味での対策の難しさを抱えている。
環境省のシミュレーションによると100頭のアライグマの群れを捕獲せずに放置した場合、6年後に5倍、10年後に50倍にまで増えると想定されるほ繁殖力は驚異的。生息場所が市街地周辺に移行し、市も檻の貸出と被害発生地域の把握といった現行の対策以上に踏み出し難いのが実情。
その一方で最大の対策となるアライグマにとって住みにくい環境づくりには市民一人ひとりの協力が不可欠となる。津市でも広報などを通じて啓発活動を行っている。
例えば、アライグマの餌となる生ごみを外に置く際も鋭い爪や牙で破られるネットは避けて密閉できる容器入れたり、家の内部に入り込まれないように外壁や軒下の隙間をくまなく塞ぐ、アライグマの好物であるカエルが集まり易く隠れ場所になる庭の草をこまめに抜いたり、生け垣の下部を地面が露出するようにしっかり刈り込むといった日常的な対策は効果的。その上でアライグマを見かけたり、屋根裏などから聞きなれない音が聞こえたり、見慣れない足跡を見かけた場合は、市に通報し、然るべきアドバイスを受けた上でしっかりと捕獲し、数を減らすことが重要となる。
ただし、アライグマは爪や牙が鋭く、気性も荒い。病原菌を媒介している可能性があるので、捕獲には危険が伴う。無理をせず専門業者に依頼するのも得策といえる。
中山間地域に被害が集中していた従来の獣害と比べると、地域に関係なく被害が発生する可能性があり、今以上に大きな問題へと発展するのはほぼ確実とみられる。
アライグマ関連の相談は津市農林政策課獣害担当☎059・229・3238へ。

日置さん(左)、渡邊さんとジビエ料理(美杉の木材で改装した壁の前で)

日置さん(左)、渡邊さんとジビエ料理(美杉の木材で改装した壁の前で)

津市江戸橋の江戸橋住居付店舗Bに昨日17日、
すぐ近くの三重大学をはじめ県内の大学の学生が運営に参加できる「学生運営Café&Bar 森の王様 Tapio」
がプレオープンした。
スタッフは学生11人。店舗に美杉町の木材を使い、同町のジビエをはじめ県産食材で作る料理や、地酒、オリジナルブレンド珈琲も提供。営業や店内イベントなどを通じ、三重の人・団体・企業の魅力を広め、交流の輪を広げる場を目指す。
開店のきっかけは三重大学大学院2年と1年で、工学部の研究室仲間である日置拓也さん(24、奈良県出身)と渡邊将司さん(24、伊賀市出身)が2月に話し合い、「お世話になった三重大学や三重県、後輩に何か残したい」と考えたこと。
2人は同店の運営母体で、県内の学生を参加対象とする「学生企画運営団体 Tapio」を発足し、同団体の代表と副代表になり開店準備を進めてきた。クラウドファンディングや、融資を受けたり、自費で資金を用意。地元企業と交流のある同大職員の協力で、人脈を作った。
スタッフは大学で得た知識や特技を生かし店に貢献していて、店舗も元飲食店を自分達で改装。料理が得意な渡邊さんがジビエのパスタやカレーなどのメニューを開発した。同店は、美杉で獣害対策で駆除された鹿を一頭買いし、部位や個体により異なる肉質に合わせた方法で調理している。
また、日置さんは今までワーキングホリデーなど自分がやりたいと思ったことに挑戦し、失敗を含め様々な経験から学んだが、社会には起業などの夢を持ちながらも挑戦しない学生が多いと感じている。そこで同団体では、将来的に、同店のコネや利益の一部を使い、夢を叶えたいという学生を支援することも目指している。「学生が気軽にチャレンジするきっかけになれば」と日置さん。
席数15席。プレオープン中の営業は水曜~土曜の18時~23時半。料理の提供は22時まで。飲み物は23時頃ラストオーダー。11月から土曜の昼にカフェ営業も行う予定。
問い合わせは☎059・991・0429へ。

平成30年度津市民文化祭参加の津花道協会「諸流いけばな展」が10月20日㈯9時半~16時半、21日㈰9時半~16時、津リージョンプラザ3階(生活文化情報センター)で開かれる。主催=津市・津市民文化祭実行委員会。主管=津花道協会。
池坊・未生流・二葉流・草月流・未生流中山文甫会・未生流笹岡・小原流・嵯峨御流と、様々な流派が一堂に揃って会場全体を秋色に彩る。
また、特別参加として同団体が実施する「津こどもいけばな教室」の生徒らも出展。日頃の稽古の成果を観ることができる。入場無料。

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