2018年10月

 ラスベガス・サンズの会長アデルソン氏は、かつてトランプ氏が経営していたカジノのライバルである。ところが、調査報道で知られるニュースサイト『プロパブリカ』は10月10日、2017年2月にトランプ大統領が安倍首相とフロリダで会談した際、ラスベガス・サンズに対して日本参入の免許を与えることを検討するよう強く求めたと報じた。然もありなん、アデルソン氏は大統領の熱心な支持者である。「昨日の敵は今日の友」は日米関係だけではない。
とはいえ、58名もの犠牲者を出した、昨年10月のラスベガス銃乱射事件の記憶もまだ消えやらぬラスベガス・サンズである。そのアデルソン会長は、事件の前月9月に大阪府庁を訪問し、日本のカジノ事業で厳しい面積規制を導入しないようにと訴えていた。結果として、今年7月に成立した『IR整備法』に、政府案に当初盛り込まれていた面積上限の数値が含まれる事はなかった。
また、日本では報道されていないが、フロリダでは他社の名前も上がったとされる。一つはご存知MGMリゾーツ、そして、会長が共和党の国家委員会を運営しているウィン・リゾートである。彼らにしてみれば、日本は最後の開拓地なのだ。
そうは言っても、MGM独占の可能性は政権交代後はあまり高くはないようである。この会長は、民主党のオバマ前大統領より国家インフラ諮問委員会に任命されていたし、更には、MGMリゾーツの日本法人の代表執行役員兼社長が、民主党オバマ政権末期にキャロライン・ケネディの後任として在日米国大使館臨時代理大使だった上級外交官だからである。
プロパブリカは、外国首脳との会談で、献金者の利益に直接結びつく話を持ち出すのは外交儀礼に反するとしている。だが、密室で決められるよりマシである。
2012年10月のウォールストリート・ジャーナルによると、2008年の選挙戦におけるオバマ陣営への献金は金融業界が最も多く、全体としては4300万ドルを献金しており、また、JPモルガン・チェースとシティグループ、バンク・オブ・アメリカ、モルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックスの従業員も350万ドルを寄付した。
結果として、彼らは二期目の選挙戦では離反したとはいえ、いわゆる市場原理主義の黄金時代を築き、格差社会を拡大したのだ。
トランプ大統領は、1999年に民主党のクリントン大統領によって廃止された「グラス・スティーガル法」の復活によって、その是正さえも念頭に置いているのである。
(O・H・M・S・S「大宇陀・東紀州・松阪圏サイトシーイング・サポート」代表)
※プロパブリカ アメリカ合衆国の非営利・独立系の報道機関。公益を目的とした長期間にわたる独自取材によって行政や企業の不正・腐敗を明らかにする「調査報道」を専門とする。
 ※グラス=スティーガル法 1933年に制定されたアメリカ合衆国の連邦法。1980年代のレーガン政権(共和党)下で規制緩和、自由競争の復活という経済路線が強まり、証券と銀行の分離を原則とする1933年銀行法(グラス=スティーガル法)の見直しが始まった。1990年代のIT好況に転じたアメリカ経済を背景に、1999年11月、共和党が多数をしめる上・下院はグラス・スティーガル法を廃止し、銀行・証券・保険を兼営する総合金融サービスを自由化する法律(グラム・リーチ・ブライリー法)を可決、クリントン大統領(民主党)が署名して成立した。このように新自由主義に基づいて金融をも自由競争にさらすことになったアメリカ経済はその後、金融工学というコンピュータ依存の金融商品が暴走し、サブプライムローンなどの問題を引き起こすこととなった。

低所得者向けに整備された公営住宅だが、家賃の滞納が全国的な問題となっている。津市でも累積した市営住宅の滞納額は5億円以上もあるため、近年では支払いに応じない悪質な滞納者に関しては、法的措置による強制退去など厳しい対応も行い、収納率の向上に努めている。元々は、〝福祉〟という観点で整備されたが、原資は血税であり、入居者間の公平性に基づく更なる取組みも求められている。

 

低所得者に安価で住まいを提供するという福祉的な面から地方自治体が整備して貸出を行っている公営住宅。しかし、総務省調べによると平成27年度で、1カ月以上家賃を滞納しているのが20万7232世帯で滞納額は約504億円にも及ぶ。
津市でも集合住宅や一戸建てを合わせて2356(今年4月1日現在)を所有しており、累積された家賃の滞納額は平成29年度末で約5億2467万円にのぼる。
合併当初の平成18年度に約3億900万円ほどだった滞納金は、一時期毎年約3000万円ずつ膨れ上がり、最大で平成27年度には6億円近くまで増加。収納率も平成20年度に現年度分が80・7%まで低下した。
ここまで積みあがった背景には、福祉目的で整備されたという経緯から家賃の滞納整理に本腰を入れてこなかったことがあげられる。1世帯当たりの最高滞納額は500万円を超えており、400万円超の滞納者も数人いる。市営住宅の滞納額は、税金や国民健康保険などと違って時効がなく、回収が難しいものも含まれているとはいえ、公営住宅法では3ケ月以上の家賃滞納で明け渡しを請求できる。それを考えれば、甘いと言われても仕方がない。
事態を重く見た津市市営住宅課では、近年滞納整理に力を入れている。通常は滞納者には、納付指導や額が大きい場合には分納の誓約をしてもらうという対応を行っているが、納付する意思がないとみられるような悪質な滞納者には、法的な手続きを実施。それによって家賃の支払いに応じる者とは和解、応じない者には強制退去を求めるなど、毅然とした対応をしている。法的手続きを行ったのは平成29年度で39件に至る。
この毅然とした対応が結果として、納付指導や分納誓約に重みを増すこととなり、現年度分の納付率は平成27年度の90・7%から、平成28年度94・6%、平成29年度97・8%と短期間で大きく改善している。
滞納総額自体は減少しているが、その裏で大きな問題となっているのは、過去から引き継いだ過年度分の収納率。現年度分が大きく改善した平成29年度でも8・7%しかない。5億円以上に積みあがった滞納金の中でも、日常的なコンタクトが取りづらい退去済みの滞納者は約2億円という大きなウェイトを占めており、津市では今年度より民間業者に委託した債権回収を実施。更なる収納率向上をめざす。
もちろん、市営住宅は福祉的な経緯で建てられているので困窮して家賃が払えず、生活保護など福祉的なサポートが必要な場合は、援護課を紹介するといった課を越えたフォローも行っている。
連帯保証人に滞納家賃の肩代わりを積極的に求めてこなかった点など、甘さを指摘する声もあるが、改正民法の施行で連帯保証人の在り方が大きく変わる可能性が高い。まずは、負の連鎖の解消をめざした滞納させない取り組みが先決となる。
津市の近年の努力は評価できるが、入居者間の平等性と共に原資である血税の重みを改めて考え、これまで以上の取組みが求められよう。

「津ぅのドまんなかバル」のパンフレットとゴマキテガタ

「津ぅのドまんなかバル」のパンフレットとゴマキテガタ

11月10日㈯、津市の大門エリアで、食べ歩き・飲み歩きを楽しめる恒例イベント「第5回津ぅのドまんなかバル」が行われる。主催は同実行委。
津市の中心地でありながら、空洞化(ドーナツ化)が進む大門の活性化に繋げるのが目的。
今まで毎年1回、60店以上が参加し催されてきたが、今回からリニューアルし、来年11月まで奇数月第2土曜に開催。参加店数を各回約20店に絞り、参加店が各回のテーマに合わせたメニューで演出する。今回のテーマは音楽(ジャズ)と食。
津観音の護摩木を利用したパスポート「ゴマキテガタ」(来年9月開催分まで利用可)を前売り500円、当日本部で800円で販売。テガタの提示+現金(1000円または500円)で、バルメニューを味わえる。
テガタは別所書店(修成店・津駅店・イオン津店)、本の王国(津文化センター前店)、津都ホテル、津駅前観光案内所、街の駅だいもん、参加店で販売中。
実行委員長で市職員の増田芳則さんは、「お店の人とコミュニケーションをとりながら、ゆっくりとはしごを楽しんでもらいたいです」。
問い合わせは増田さんへ☎090・7955・6787(受付17時半~19時)。
なお10日、大門エリアで「第4回津ぅのドまんなかジャズフェスティバル」も開かれる。

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