「ありがとうございます」と、笑顔で声をかけたら、誰でも自然と笑顔になりますよね。笑顔は、人を元気にする最強のツールです。
私の学校の体育祭では、バトンをクラス40人が繋いで走るリレーがあります。グラウンドは走る人と応援する人が入り乱れていて誰が走っているのかわからないくらいです。
アンカーが走り終えると、1位のクラスも最下位のクラスもみんな笑顔で喜びを分かち合っています。その様子を見て、疲れているはずなのに何故笑うことができるのだろうと私は不思議に思いました。
ある日、「ランナーズ・ハイ」という言葉を知りました。ランナーズ・ハイとは、長時間走ることによって脳下垂体からアドレナリンが出て気持ちが高揚することだそうです。走ることによって自然に笑顔になる。これは、科学的に証明されています。スポーツが作り出す笑顔はとても素晴らしいものです。
スポーツと言えば、9月初めに行われたアジア大会では、日本選手団が金メダル75個獲得という偉業を成し遂げるなど、嬉しいニュースがたくさんありました。
しかしその一方、スポーツ界ではコーチからの暴力やパワハラ問題、野球や相撲での賭博問題などの不祥事もありました。そんな中で選手たちは本当の笑顔を出すことができるのでしょうか。観戦している私たちには、笑うことなどできるはずがありません。
ところで、私には幼馴染と呼べる友人がいません。なぜなら、小学校の時に親の仕事の都合で2度転校をしたからです。 新しい学校の同級生たちは、突然やってきた転校生に話しかけにくいということもあり、仲良くしてくれる人はあまりいませんでした。
そんな中で私は、嫌われたくないためにあることを考え付きました。それは「何があっても笑顔で過ごす」ことです。
これを聞いたら、「良いことじゃないか」と思いますよね。かといって、笑顔を自然に出すことはできません。そこで私は、作り笑いをすることにしました。
「おまえって本当にバカだよな」「まじキモイ」と言われても、「もう、ひどいなぁ」「そんなことないよ」などと作り笑いで返すことにしたのです。
これらは明らかにいじめです。しかし、まだ幼かった私には、どんなにひどい言葉でも話しかけてもらえることが、無視されたり、仲間外れになることよりも気が楽でした。
作り笑いなのに、「初笑ちゃんは、毎日笑顔で良いね」と先生や近所の人、同級生たちから褒めてもらえました。しかし、この時、私には本当の友人はいないと思っていました。
ずっと笑っている私には、やはり限界がありました。作り笑いをしようにも顔が引きつってしまい、ついに笑うことが出来なくなってしまったのです。笑顔でいることは、本当は嬉しいことなのに、逆に自分を苦しめてしまっていたのです。中学校2年生の頃、私はわらにもすがる思いである同級生に苦しみを打ち明けました。
するとその人は、「そんなの、見ていたらわかるよ。別に無理して笑わなくてもいいんだよ。私の前では、笑わなくてもいいから。本当に笑いたい時だけ笑えばいいからね」と言ってくれました。自分では上手く作り笑いができていると思っていても、周りから見たら自然と出た笑顔なのか、作り笑いなのかがすぐに分かるようです。
その時私は、自分の過ちに気が付きました。それは、周りを気にしすぎて、私のことを分かってくれていた人の存在に気付くことができなかったことです。私は、知らないうちにその人を傷つけていたのかもしれません。
その後その人は、かけがえのない友人となりました。それからは、笑うことが多くなり、友人が増えていきました。
悲しいときや辛いとき、笑顔の人を見ると、不思議とその気持ちが消えて、私たちは自然と笑顔になり、元気になることができます。笑顔には、免疫力アップやストレスの解消、脳の活性化、認知症の予防、などの効果があると言われています。笑顔は健康にもつながるのです。
こうして笑顔が広がっていけば、私たち一人一人が幸せになることができるのです。人を元気にし、健康にし、幸せにすることができる笑顔は、私たちにとって、スポーツ界にとって、さらには地域、国、世界にとって、平和へと導く最強のツールなのではないのでしょうか。
この素晴らしいツールを使って、私は周りを笑顔にしていきたい。世界を平和にしたい。