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大阪北部地震で児童が倒壊したブロック塀の下敷きになった凄惨な事故を受け、津市でも「生け垣緑化推進事業補助金」が始まった。ブロック塀を撤去した跡に生け垣を設置する費用を補助する施策だが、その一方でブロック塀の撤去に対する補助金を求める声も大きい。自己管理は原則とはいえ、防災意識の高まっている今のうちに危険なブロック塀の撤去が進むよう更なる施策の充実が求められている。
の宮城県沖地震を皮切りに大地震が起きるたびに、倒壊して人が下敷きになったり、道路の通行を妨げるなど、様々な問題を引き起こし、広く防災上のリスクとして認識されてきた。その一方で、建築基準を満たさない安全性の低いブロック塀をそのまま使い続けているケースも少なくない。しかし、先日の大阪北部地震で児童が倒壊したブロック塀の下敷きとなって亡くなるという痛ましい事故が発生。改めて、ブロック塀の危険性が注目を集めている。
津市でも小中学校など公共施設の調査を進め、危険性のある物の撤去・改修を進めることとなった。そして、一般の住宅を対象にした事業が、「生け垣緑化推進事業補助金」だ。
具体的には、公道に面した既存のブロック塀等を除却した後、生け垣を設置する場合に経費の2分の1補助で最大10万円の補助が受けられる。条件としては①生け垣の延長がおおむね3m以上②植栽された樹木の樹高が概ね80㎝以上③植栽本数が1m当たり3本以上であること④生け垣と道路の間に建築物等を設置し、公道からの視界が遮断されていないなどがある。補助対象は、苗木、支柱等の生け垣の材料費、生け垣設置に係る土壌改良費、生け垣の設置に係る人件費および諸経費(生け垣の設置を事業者に依頼する場合)。ブロック塀の撤去そのものに対する補助はない。予算は今年度500万円で50件の利用を見込み、3カ年の実施を計画している。
防災と緑化という〝一石二鳥〟の施策といえるが、補助金の受付開始から約1カ月が経過した11月8日現在、相談はそれなりにあるものの、まだ補助金の利用には至っていない。その裏では、ブロック塀の撤去への補助を求める声が根強いのも事実。倒壊の危険性のある古いブロック塀は、高齢者が住んでいるケースが多く、費用もさることながら、生垣の管理を重荷に感じるケースも。
もちろん、個人の資産であるブロック塀は、自己責任で管理されるべきだが、最も大切なのは、より広い観点から捉えた市民の安全。防災意識が高まっている今の内に撤去がより促進されるよう迅速な対応が肝要といえる。加えて、社会問題化している空き家となれば更に撤去が難しくなる点も考慮すべきだ。
全国的にも同様の施策は行われているが、同時に撤去への補助を出している自治体も多い。津市でも市民のニーズをくみ取りながら、より利用し易い形へと施策を充実させていく必要があろう。
2018年11月15日 AM 5:00