津市の旅客船ターミナル「津なぎさまち」付近の臨港道路では平成17年の就航以来、乗船客による長時間駐車・横断歩道付近などでの違法駐車が多く問題となっている。最近、高速船の乗客増に比例し違反車両が一層増えた。そこで三重県・津市・津警察署は対策を協議し、今夏から啓発を開始。さらに津署が9月から取締りを強化し、刑事罰を科す赤切符を2件交付するなど厳重に対応。すでに効果が出ている。

 

 

長時間駐車・違法駐車が懸案で、9月から取締りが強化された津なぎさまち付近の臨港道路

長時間駐車・違法駐車が懸案で、9月から取締りが強化された津なぎさまち付近の臨港道路

「津なぎさまち」は、中部国際空港への海上アクセス拠点として平成17年に開港。津市などでつくる「津なぎさまちイメージアップ事業実行委員会」のPR活動などによって高速船の乗客数は増加傾向で、昨年度は過去10年間で最多の28万8954人に上った。また、海を臨む施設周辺は市民の憩いの場でもあり、散歩などで訪れる人も多い。
しかし一方で、開港以来、なぎさまち付近を通り県が管理する「臨港道路」のバス停近くなどでは、主に乗船客による違法駐車が蔓延。休日には、片側一車線の道路両側に約40台の車が長時間駐車されていることも珍しくなく、交通安全・防犯・景観面で深刻な問題となっていた。
違法駐車の要因の一つは、高速船利用者用の無料駐車場の不足。2泊以下の駐車の場合はなぎさまち内駐車場、3泊以上の駐車の場合はなぎさまちから800mほど離れた第2~5駐車場を利用できるが、需要に対して収容台数が少ない。そのため駐車場拡大が課題だが、土地の確保が困難で現状、実現は難しい。
また第2~5駐車場の利用者用になぎさまちまでの無料送迎車が運行しているが、高速船ターミナルに近いからと臨港道路に長期間駐車する人も多い。
この道路には公安委員会(警察)が設置する駐車禁止の標識は設けられていない。但し「道路交通法」に基づき逆向き駐車や横断歩道付近などでの駐車が禁止で、違反すると青切符が交付され反則金が科される。また「自動車の保管場所の確保等に関する法律」に基づき長時間駐車が禁止で、違反すると赤切符が交付され刑事処分で罰金が科され、前科が付く。
乗船客の増加とともに違法駐車の数も増えてきたこともあり、県・市・津署が対策を協議し、今夏からビラで長時間駐車禁止の啓発を始めた。
さらに津署が9月からこの臨港道路での駐車違反の取締りを強化し、10月末までに青切符交付が5件、赤切符交付が2件と厳重に対応している。
これら具体策が功を奏し、違法駐車が平日や連休中も減少した。
今後、行政が違法駐車防止のため看板・ポストコーンを設置する予定。また警察は将来的に標識を設け規制化することも視野に入れていて、さらなる効果が期待される。
津市の海の玄関口の安心・安全を守るため、これら具体策の意義は大きい。そして対策以上に重要なのが、市民一人ひとりが意識し駐車マナー向上に努めることだろう。