2018年11月

青空です。探しても、雲は一つもありません。立冬を過ぎてから、遅れていた秋空が追っかけて来た感じです。老体には、今夏の暑さがこたえました。掛かりつけ医さんによると、血圧、血糖値などは年齢相応、普通の普通とのことで、2週間に一度、定期診察を受けながら元気な日々を送っています。
まずは、自己管理が肝要です。医師殿の勧めによって、努力目標一日に5千歩、少なくとも3千歩は歩くようにしています。
幸い、わが家の周りには散歩道が十分にあります。とりわけ、県立美術館への小道は、車に出会う心配がなく適当に坂道や階段があって、朝夕のひと歩きに絶好の散歩コースです。そして、散歩のついでには、美術館の「ミュージアムショップ」に立ち寄ることにしています。
今、美術館では、『川端康成と横光利一展』を開催中です。会期は12月26日(日曜日)まで、案内のパンフに「書簡と多彩な資料でたどる川端康成と横山利一の文学と友情の軌跡・池大雅、与謝蕪村、東山魁夷ほか国宝を含む川端コレクションを公開」とあります。
私は、まだ展覧会には行っていません。会期は、あと20日ほどあります。展覧会場が熟す?のを待っているのです。美術館のエントランスホールで、11月20日(火曜日)
から25日(日曜日)まで、「美術館友の会」による「お茶会」があります。会場をじっくり鑑賞してからお茶を一服、至福の時を味わうことにしています。
「ミュージアムショップ」に、川端、横光の著書がたくさん置いてありあます。私は、川端康成のノーベル賞受賞記念講演『美しい日本の私その序説・全文』を買ってきました。サブタイトルに、「日本人の心を見直す不朽の名文」とあります。日本文学の研究家エドワード・G・サイデンスッテカーの英訳付きです。英訳を除いて、川端の講演は新書版で30ページあまり、内容はもちろん、旧仮名遣いの文章に難渋しながらも、高校時代の国語の授業を思い出しつつ読了しました。但し、英訳のほうはこれからです。「ボケ防止に頑張るつもり」と言ったら、英語が好きな孫が笑うことでしょう。
川端の講演の中ほど過ぎ、生け花、日本庭園、盆栽、茶道などと「美しい日本」を語ってゆく中に、焼きもの「古伊賀」が出てきます。「日本の焼きものの花生けのなかで、最も位が高いとし、また価いも高い、古伊賀(およそ15、16世紀)は水に漏らして、はじめて目ざめるように、美しい生色を放ちます。…その伊賀焼きの渋くて、粗くて、強い肌が、水を含むと、艶な照りを見せます。…」と、ずいぶん字数を割いて語っています。
焼きもの好きの私にとって、ここのくだりの発見は、嬉しい衝撃でした。後で調べていましたら、伊賀焼きの作家であり研究家でもある故谷本光生氏は、著書『伊賀焼』(誠文堂新光社刊)の中で川端のこの講演について触れ、おもしろい感想を書いているのを見つけたました。ご一読を勧めます。
今回の展覧会、展示品のどこかに川端愛蔵の古伊賀の花入れが出ていないかと楽しみにしています。そして、「友の会」の「お茶会」に、伊賀焼きの茶碗が出て来れば、なお楽しいのにと思っています。
余談ながら、私はこのところ寝付きが悪くて困っています。医師殿は、睡眠導入薬をくださいました。
この薬は、就寝の直前ではなく、就寝の1、2時間前に服用して眠気を待つのだそうです。そこでその間、モーツァルトのピアノ・ソナタを内田光子の名盤で聴いています。この曲の第11番《トルコ行進曲付き》は、高校生に時文化祭で聴いた曲です。思い出がつのって、却って目が覚めてしまいます。
(日本開発研究所三重上席アドバイザー・元三重県総合文化センター副総長)

◆猪の倉温泉メダカ館開店3周年記念セール&日本寒蘭展 11月23日~25日10時~17時、津市白山町佐田の猪の倉温泉駐車場広場にて。セール期間中はメダカすくいや、最新のメダカ品種を記念特別価格で販売。また、日本寒蘭展を同時開催。美しい花も楽しめる。問い合わせはメダカ館店長大工さん☎090・1561・8957へ。

「きょうはかなり停まっているなあ」と夫が言う。道路脇の時間貸し駐車場の利用率チェックをしているのだ。と言っても、我が家所有のものではない。縁もゆかりもない駐車場である。
なのに、一時間いくらで、一日のうち何時間埋まると一カ月の売上高はと計算する。精算機のリース代や設備のメンテナンス費、減価償却費、固定資産税などは……。
次の曲がり角には喫茶店。駐車場にいつも車が数台あるから、古い喫茶店ながら不思議と客が入っている様子だ。常連さんがいるのだろうか。
また計算を始める。あの規模の喫茶店で一日に何杯のコーヒーが売れるだろうか。一杯四百円で売るとしても、席を長く占拠されるだろうから……。コーヒーの材料費は安そうだ。ランチ営業をすれば儲かるだろうか。でも大型喫茶店チェーンが元気な今、個人経営喫茶店は難しそうである。
他人が心配することでもないのに、どれぐらいが採算ラインかと夫婦で討議する。生活費程度の営業利益を得るための売上高はどれほど必要だろう。趣味としてお小遣いを稼ぐ程度と設定を変えたらどうだろう。
商売の経験がないのでよく分からないが、採算ラインを超える売上高を維持するのは容易くはなさそうだ。根拠というほどのものはないが、退職後の起業は無謀だということで、いつも議論はお開きになる。 (舞)

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