少しの所で、車の調子がおかしいことに気が付いた。「パンク?」十八歳で免許を取ってから、パンクは一回あったかどうか。遠い記憶を探った。
とにかく、通行の邪魔にならない場所に移動しなくてはと、そろそろと横道に入り、車を停めた。降りて見るとやはり左の後輪がへこんでいた。
確か、スペアタイヤがあったはず。ジャッキもどこかにあったはず。探し出したタイヤと工具を車の傍に置いて、しばし佇んだ。助けてくれる人は誰もいない。
若い頃なら違っただろう。ずっと昔、車を停めて立っていたら、通りがかりの車の人が次々「どうしたの」と聞いてくれた。若いだけで、助けが得やすかったあの頃。
でも、もうそれは期待できない。私はタイヤ交換を自分でしようと屈みこんだ。ジャッキを使って車を支え、タイヤのナットを緩めるのだ。緩めるのも締めるのも対角にと、何十年も前に自動車学校で学んだことが浮かんでくる。
しかしながら、ジャッキを置く位置が分からない。車にあったジャッキは昔のものとは違ってずいぶん華奢に見えるし、車の一角を上手に支えられるか心配だった。
そこで結局ジャフに電話した。若さで助けが呼べないので、お金で助けを呼んだのである。プロの助けが得られるならこんな便利なことはない。とても現実的な対処法。 (舞)