今年の優秀賞1席の「さとり」号

今年の優秀賞1席の「さとり」号

11月25日、世界のブランド『松阪牛』の年度チャンピオンを決める『第69回松阪肉牛共進会』が松阪農業公園ベルファームで開かれた。主催=三重県・松阪市・津市など関係市町ほか関係団体。
この日の本選には、予選を勝ち抜いた50頭が出場。特産松阪牛とは、兵庫県から買い付けた子牛を松阪牛肥育地域で肥育農家が、採算を度外視して900日以上肥育した未経産牛。松阪牛全体のわずか数%しかいない。今年も毛並、体型、肉付きと、どれをとっても素晴らしい名牛が揃った。
早朝から県畜産研究所の職員らが厳正なる審査をした結果、チャンピオン牛の優秀賞1席には大紀町野原の中村一昭さん(42)肥育の『さとり』号=肥育日数1042日、670㎏=が輝いた。中村さんが一席を獲得するのは、平成22年に続いて2回目。
褒賞授与式で審査長の県畜産研究所大家畜研究課・岡本俊英主幹研究員は、全体の講評として、今年の酷暑が暑さに弱い牛の肥育に悪影響を与えたにも関わらず、昨年と遜色のない水準に仕上げた農家の技術を絶賛。さとり号の出来栄えを「全体的な体の張りと幅、肉付きも見事で表面も素晴らしい滑らかさだった」と説明した。
その後のせり市は全国的にも注目を集めており今年も多くのギャラリーと報道陣がつめかけた。
優秀賞5席『よしつね015』号は350万円、4席『としこ』号は400万円、3席『てる』号は450万円で朝日屋が落札。2席『としふく2』号は450万円でドリームオーシャンが落札。
1席の『さとり』号は今年も激しいせり合戦で、せり値が大台に乗るたびに聴衆から拍手と歓声が飛び交った。一歩も譲らぬ強気の姿勢を崩さなかった朝日屋が、2510万円で落札。朝日屋のチャンピオン牛落札は27年連続、通算37回目。
今年も圧倒的な買い攻勢で50頭のうち19頭を落札した朝日屋の香田佳永社長(58)は、「今年も一席を落札出来て、ほっとしている」と語った。また、1席から5席のうち2席以外、全て朝日屋が契約する七保和牛部会に所属する肥育農家で、そのレベルの高さを知らしめた。
「さとり」号の肥育農家の中村さんは「自分の育てた牛に凄い値段をつけて頂けて嬉しい」と喜びを噛みしめた。
朝日屋が、この日に落札した牛は今年も12月13日から名牛まつりで販売する。
落札した各業者の頭数は次の通り─①朝日屋…19頭②マックスバリュ中部…6頭③マルヤス…4頭④力八精肉店…3頭⑤牛銀本店、瀬古食品霜ふり本舗、松阪まるよし…各2頭⑥和田金、一升びん、やき肉千力、丸中本店、焼肉野崎、おう児牛肉店、丸幸本店、JA全農みえミート、肉道楽西むら、ドリームオーシャン、豚捨、肉の友屋…各1頭。