働き方改革が掲げられ、女性の社会進出も進む近年、需要の増大が続いている保育所。津市も市立の認定こども園を新設するなど、定員の拡大に努めているが、利用希望者が集中する市街地の園などでは市が独自の基準で保育の必要性が高い子供を優先する利用調整が行われてる。しかし、その基準について育児休業の利用可否が明暗を分ける形となり、自営業者などには不利ではとの指摘が挙がっている。

 

 

津市内の保育所(市立と民営、認定こども園の保育園型を含む)を利用する子供は、平成30年4月1日の時点で5980人。
定員に余裕がある郊外の保育所がある一方、新興住宅地や保護者の職場となる企業や官公庁などが多い地域にある園には利用希望者が集中。申し込み数が空き状況を超えた場合に、保育の必要性が高い子供から優先して利用できるよう市は利用調整を行っている。
どのように行われるのか簡単に説明すると、保護者の勤務形態・就労時間・親族の介護の有無・就労状況などを考慮して割り出す「基本点数」と、社会的支援の有無・同一園を希望する兄弟姉妹の有無・世帯の状況などを考慮して割り出す「調整指数」の合計点を基本として、点数の高い子供から順に希望する施設の空き状況を確認し、利用する施設を決定する。基本点数と調整指数は国の基準をベースに自治体の裁量で定められている。津市も各項目で、どのように加算されるかは公開している。
この利用調整で不公平と指摘が上がっているのは、調整指数にある産前産後休業または育児休業から復帰する場合に加算される項目。これには23点が設定されており、基本点数では被雇用者と自営業者などの間には点差は存在しないものの、自営業者など育児休業制度を利用できない保護者は不利になる。虐待などで社会的養護が必要な子供で30点、同居人のいないひとり親家庭やハンデを抱える子供でも20点と考えると、他の項目で覆すのは容易ではない。
更に育児休業の取りやすい規模の大きい企業や官公庁に勤める保護者と比べると、中小零細企業に勤める保護者にも不利に働くケースがある。厚生労働省の調べによると育児休業制度の規定ありの事業所割合は平成29年度調べで30人以上の事業所については93・2%、5人以上で75%。500人以上では99・4%と人数が増えるほど高くなっており、逆に4人以下は調査の対象外だが、最も低い数字となる可能性が高い。もちろん、法律上は、規定の有無に問わず、事業主は育児休業の申請を原則的に認めなければならないが、職場の規模が小さくなればなるほど、人的な余裕が無く、取得しづらい環境にあることは確実だ。
12月の津市定例会でも田中勝博市議が市民間の不平等を改めるよう指摘している。ちなみに松阪市では同様の項目は5点と大きな開きがある。
もちろん、保護者のニーズを的確に汲み取って定員増を行い、利用調整をする必要がない状況をつくるのが最善策ではあるが早期実現は容易ではない。育児休暇の取得推進は図られるべきであるが、国も働き方改革において多様な働き方を認める上で、自営業者などが不利にならない取組みを進めており、津市でも市民間の不平等を改善する必要性を認識している。
2020年度からの次期「津市子ども・子育て支援事業計画」策定に向けて、市が動き始めることとなるが、誰もが安心して子育てができる環境づくりが求められる。