2019年2月

『生活困窮者自立支援制度』は生活保護に至る前段階の人々に様々な支援を行う制度。昨年10月に根拠法が一部改正され、自治体の更なる支援体制の強化などが盛り込まれている。津市でも同制度に基づき、自立をめざすプランの作成や、子供への学習支援など、様々な事業に取り組んでおり、利用者が一般就労するなど成果も出ている。

 

 

「生活困窮者自立支援法」に基づき、平成27年4月より運用されてきた同制度。非正規雇用労働者の増加、地域コミュニティの衰退、親から子への貧困の連鎖などの社会問題により、生活保護に至る前段階まで追い込まれた人々を救うセーフティネットとしての役割を果たす。
実施主体は福祉事務所を置く自治体。津市では市役所本庁舎1階正面入口近くに昨年末移転したばかりの援護課が相談窓口を設置。相談者の状況を判断して、適切な福祉サービスを紹介する。その上で制度に基づく支援が必要と判断された人を対象に事業を実施する。
具体的に事業を紹介すると、自治体に実施が義務付けられているのが、離職などで住居を失った人の就職活動を支えるために家賃相当額を支給する「住宅確保給付金」と、自立や就労に向けた支援を行う「自立相談支援事業」の二つ。利用者自らが家計管理できる力を育むために必要な助言を行う「家計改善支援事業」と、すぐに就職するのが難しい人のコミュニケーション能力を養ったり、生活習慣の改善などをめざす「就労準備支援事業」は、これまで自治体の裁量で実施するかを任意で決められたが、法改正によって実施を努力義務に引き上げられた。これには、自立相談支援事業、家計改善支援事業、就労準備支援事業の3事業を一体的に行うことでより効果的な支援につなげたいという国のねらいがある。津市では、任意事業の2つには以前から取り組んでおり、主任相談員、家計に関するアドバイスや各種給付の利用調整を行う相談員、就労に関するアドバイスやハローワークへの同行支援を行う就労相談支援員が日々、業務に当たっている。
他の事業では、貧困の連鎖を断ち切ることを目的に、子供を対象とした学習支援事業も大きな意義を持つ。津市では学習塾などを運営している民間事業者に委託を行い、一人親世帯の小学4年生~中学3年生、生活困窮者と生活保護世帯の中学1年生~3年生を対象に津駅、津新町駅、久居駅の3カ所で実施している。毎年定員いっぱいになるほどの人気。国は法改正で学習支援だけでなく、生活支援や育成環境の改善を盛り込んでいるが、普段接点の無い子供たちと福祉担当部署だけでは対応が難しく、学校や教育委員会など、関係機関との連携が必要不可欠となっている。
制度の利用状況は初年度の平成27年度が200件、平成28年度が208件、平成29年度が251件。平成30年度が12月末現在で215件で昨年度とほぼ同等まで伸びる見込み。近年、相談数自体は増えており、制度を利用して一般就労に繋がった人も毎年出ている。
今後の課題は、法改正にも盛り込まれた要素であるが、国民健康保険、介護保険、税務など生活困窮者と関わる可能性のある部署との連携強化。それぞれの部署が困窮者に制度の利用を勧めればより手を差し伸べられる可能性は高くなる。
今は普通に暮らす人でも、失業や家族の死亡や介護などをきっかけに、生活に困ることは十分起こり得る。少しでも多くの人たちが自分の周囲に目を広げ、そのような人に気づいた場合、制度の利用を呼び掛けることも重要といえる。問い合わせは津市援護課☎059・229・3151。

 寒さの中にもどことなく春の気配を感じるようになりました。梅の香りが春風にのって運ばれて来る季節が今年もきたのだと心待ちするこの頃です。又、今年は後何日かで新しい元号に変わり記念すべき新時代が始まろうとしています。
今回は、春の花、梅にちなみ「梅が香」と「重ね扇」の二曲をご紹介したいと思います。
 「梅が香」
 梅が香を幸い東風が誘い候
かしくと書いた土筆
主に扇を重ねてそして誰を招ぐか早蕨の
手事というも恥ずかしく顔に初日がさすわいな
 明治時代の曲で作詞作曲は不詳です。明治25年3月五代目・尾上菊五郎が大阪へ初乗り込みを行いました。
「梅が香」もその時出来た小唄だと言われております。「梅が香を幸い」は五代目・菊五郎の俳号梅幸で「重ね扇」は尾上家の紋のことをいい、初日は芝居の初日の事をいいます。
この唄の作者は大阪角座で賑々しく開場したということを春の植物「土筆」と「早蕨」で表現しています。土筆は出始めは筆のような形をしています。そこで土筆を女性が持つ筆にたとえ、「東から吹いて来る風が、今年は幸いに東京の梅の香りをのせて大阪に参りましたよ」という女の人が書く文句にしたのが「梅が香~かしくと書いた土筆」のところです。
「早蕨」は蕨の異称でこれも一番若い時は、上部がこぶしを握ったようにくるくると巻き、誰かを招いているような手をしているので、ここでも「早蕨」を土筆と同じく若い女性の手にたとえています。次に出てくる「手事」とは音楽用語で前唄と後唄との間にある長い合の手のことをいいますが、ここでは男の人を想う女性の手管という意味に解してよいでしょう。   「手事というのも恥ずかしく」とは五代目が私の誘いにのって設けの席に来てくれて嬉しく、こうした手練手管を用いてもお逢いしたいと思う心が恥ずかしいという意味のことを言っております。   この唄は五代目・菊五郎が目出たく芝居の初日を迎え、来阪を喜ぶ女性の気持ちを代表して述べた江戸小唄です。
 「重ね扇」
 重ね扇はよい辻占よ
二人でしっぽり抱き柏
菊の花なら何時までも
活けてながめている心
色も香もある梅の花この唄は江戸後期の作で作者不詳です。
重ね扇に抱き柏の紋は三代目・菊五郎が細川候の邸へ参上した時、折から端午の節句で殿様から扇に柏餅を二つのせて出されたので、それを自分の扇に受けて頂いたので、これを記念して「重ね扇に抱き柏」を尾上家の紋にしたと伝えられれいます。
この唄は「音羽屋の紋づくし」で「抱き柏」と「重ね扇」は尾上家の紋です。「菊」は五代目・菊五郎のことで、「梅の花」は菊五郎の愛人、辻井梅のことを言っていると思われます。
五代目自身も小唄をたくさん作っており、又、五代目尾上菊五郎を唄った小唄は非常に多いといわれております。

 ようやく寒さの出口がみえてきましたがまだまだ気候不順の日がつづきそうです。お体にはくれぐれも気をつけて。
小唄 土筆派家元
 木村菊太郎著「江戸唄」参考
 三味線や小唄に興味のある方、お聴きになりたい方はお気軽にご連絡ください。又中日文化センターで講師も務めております。稽古場は「料亭ヤマニ」になっております。         ☎059・228・3590

▼第52回三歩会展=3・1~3、三重画廊
▼第32回全国シルバー書道展三重展=28~3・2、県総文第2G
▼フォトフレンドTsu写真展=~3・3、津リージョンプラザ
▼第35回三重旺玄展=3・6~10、県立美術館
▼おやじバンド合戦・まつさか嬉野の陣=3・3、嬉野ふるさと会館
▼第21回三重さをり仲間展=28~3・3、岩田川久画廊

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