1月22日から始まった世界経済フォーラム年次総会『ダボス会議』。日本からも多くの産官学の関係者が集い、翌23日には日本の首相が演説した。
主張の一つは、国際貿易システムへの信頼の立て直し。不公正な補助金支出の是正などに向けて、世界貿易機関WTOの改革を主導する考えだ。もう一つは、技術開発による地球温暖化対策の推進。海洋プラスチックごみ対策で世界の共通認識を作るとする。そして、ビッグデータの自由な国際流通に向けた議論の必要性もである。
具体的には、個人情報は慎重に保護する一方、匿名データは国境を越えて自由に往来させ、技術革新や格差解消につなげたいとする。首相は6月に大阪で開催されるG20で取り上げる事を表明、『大阪トラック』と名付ける提案をした。まさに、鬼の居ぬ間のなんとやらである。というのも、今年はビッグネームの欠席が多かったからだ。ブレグジットで揺れる英首相のみならず、メキシコの壁の予算問題を抱えている米大統領も、オーストリアの首相も、ロシアの大統領も、インドの首相も来てない。そして、仏大統領もである。黄色いベストが怖いのか?
G7で参加するのは日本の首相と独首相、イタリアの首相だけで、中国も副主席だった。
ところがどっこい、仏大統領は1月22日に独西部のアーヘンで独首相と共に、1963年にパリで調印されたエリゼ条約を補完する『アーヘン条約』に調印していた。この新条約の狙いは、関係を深化させた仏独両国でEU諸国を牽引し、仏独経済圏を目標にして更なる発展を目指すものである。仏独軍備統合で戦力を強化し、仏国が国連で持つ安全保障理事会の常任理事国の席を独国と分かち、10人の経済顧問による審議会を作って、経済政策や、それに関する法律を統一する具体案を協議するという。しかも、この条約は仏独国境地域の統合をも謳っている。法律の違いによる障壁を撤廃、職業資格を統一し、医療保険に互換性を持たせ、独仏二カ国語教育を推進、市民基金を創設して市民運動を支援、鉄道の円滑化などでEU域内での独仏強化を意図しているのだ。要するに、グローバリズムの名の下に、仏独で欧州を支配しようというわけである。
EU経済圏での2国間条約というのも奇妙だが、はたしてこれはナショナリズムを超越した先進的な試みか、それとも国境や主権や文化が失われる愚行か?
それは、伝統的な王政など、国家の象徴を維持しているか否かで見解が分かれるに違いない。
調べてみると欧州にはけっこう王室があるが、少なくとも、ベルギー、スペイン、ノルウェー、デンマーク、スウェーデン、オランダ、モナコ、ルクセンブルク、リヒテンシュタインなどの伝統的に王室を維持している国は注意を要する。もちろん英国もだ。
(次回に続く)
(O・H・M・S・S「大宇陀・東紀州・松阪圏サイトシーイング・サポート」代表)