今年4月1日より始まる『森林経営管理制度』によって森林行政が大きな転換期を迎える。今まで国や都道府県が主となって様々な施策を行ってきたが、この法律によって森林所有者による適切な森林管理とそれを促す森林所在地の市町村の森林管理の責務がより明確化されることとなる。市域の約60%が森林を占める津市でも意欲的な取組みであるべき森林の形を描いていくことが期待される。

 

 

森林経営管理法に基づく、森林経営管理制度のねらいは大きく2つ。1つ目は林業の成長産業化。戦後や高度経済成長期に植栽された人工林のスギやヒノキが木材として利用可能な時期を迎えようとしており、木材自給率向上の中、「伐って、使って、植える」というサイクルの健全化をめざす。
そして、もう一つは、森林資源の適正管理。森林は防災面や環境など、いわゆる多面的な機能で大きな役割を果たしているが、林業の低迷によって資産価値を失った森林は所有者が管理せずに荒廃。日本の森林は小規模かつ分散的で、相続によって登記が行われず、所有者や境界が不明のケースも少なくない。
これまでは森林所有者が自ら管理するか、林業者や森林組合などに委託して経営管理を行ってきたが、前述の通り、それだけでは立ち行かなくなっている実情を打開するために始まるのが同制度だ。
森林に関する施策は、林野庁や都道府県が主体で行ってきたが、森林経営管理制度は、市町村主体で取り組むのが特徴。具体的には森林所有者に対して、適切な経営管理ができるかどうかの意向を森林所有者に確認をとる。その上で、これまで適切に管理を行われている森林に関しては経営管理を再委託する。所有者ができないと判断したものに関しては市町村に経営管理を委託する。その中でも林業経営に適する森林は市町村が集積・集約化を行い、都道府県が認定する林業経営者へ貸し出せる。所有者不明な森林が集約の妨げになっていても然るべき手段をとれば、市町村が管理できるようになるというルールもある。京都市では、全国に先駆けて、この制度を活用した林業バンクの開始を決定している。
残る林業経営に適さない森林については、所有者が経営管理できない場合、市町村が委託を受け管理を行っていくこととなる。森林全体の面積で考えれば、こちらの方が大きく、防災機能、水源涵養、景観形成、地球温暖化防止など森林の多面的な機能を守る。
津市でも市域の約60%の4万2000haを森林が占めており、この制度にどう向き合うかは非常に大きな課題となる。4月以降に、まず森林所有者に対して意向確認を行い、それに基づき、所有者や境界の確認などを行い森林の現状を正確に把握。今後の森林施策を具体的に展開する上で重要となる第一歩を踏み出していく。
国も財源には、住民税に上乗せする森林環境譲与税(仮称)を充てる方針で、地域の森林の在り方を市町村が描いていくこととなる大きな転換期を迎える。所有者も森林が私有財産でありながら公共にも資する存在であるという本質を再認識し改めてどう関わっていくべきか考える局面がきたといえる。