今年は冬野菜のできが良いみたい。いただきものの白菜も大根も、大きいうえに甘くておいしい。大きな大根を三本ももらって、我が家は大根三昧の日々を送っている。
まずは、おでん、そしてサラダに漬物になます、豚汁にぶり大根。生で食べたり煮て食べたりして、次は何だろうと考えた。
「案外おいしい」と教えてもらったのは、大根飯である。炊き込みご飯の具を大根とするもの。でも大根飯といったら、まず心に浮かぶのは「おしん」、そして「火垂るの墓」の時代。米が足りないので、大根で増量したという料理だ。
どうにもみじめったらしい気がして、大根飯を炊いたことがなかったが、食べ物に偏見をもつなんてもってのほかと反省して大根飯を炊いてみた。
米に大根とニンジンと油揚げと干しシイタケ、市販のつゆを加え炊き上げた。青みにカブの葉を散らす。炊飯器の蓋を開けると油揚げの香りが立って食欲をそそった。
味を見ればさっぱりとして、大根特有の匂いもない。偏見は払拭、おいしい味ご飯ができたと思った。
ただ、「おしんの大根飯」と食卓に出したのがいけなかった。夫は「特に食べなくてもよい」そうだ。おしんの食べたものと比べれば、いろいろ入れて豪華な大根飯だが、「おしんの」と付けるとみじめなイメージが先行する。おいしい味ご飯とアピールすればよかった。   (舞)