国道163号守口市大宮通4丁目交差点(大阪府守口市)

国道163号守口市大宮通4丁目交差点(大阪府守口市)

花博記念公園鶴見緑地付近の守口市と大阪市の市境

花博記念公園鶴見緑地付近の守口市と大阪市の市境

大阪府守口市。淀川と大阪市、門真市、寝屋川市に挟まれた市域の面積は13㎢弱で、くの字に似た個性的な形をしている。人口は約14万3千人。もちろん、この街も、これまでの三市と同じく大阪市のベッドタウン。国道163号は、市域の南部のちょうど2㎞ほどを横断している。
古くは東海道五十七次の最後の宿場町。「五十三次では」と思われた方も多いはずだが、実は大津宿から京都までのお馴染みの五十三次と、京街道と呼ばれる道沿いに4つの宿場を置いた五十七次に分岐していた。守口は、その最後である57番目の宿場町。ちなみに国道163号は、この辺りを起点に大阪と奈良を結ぶ守口街道または、清滝街道と呼ばれる道をルーツにしている。
余りご縁があった土地ではないので、市の名前を見て、まず連想したのが名古屋名産の守口漬。最長で180㎝以上になる世界一長い大根の守口大根を酒粕などで漬け込んだ漬物。その名の通り昔は守口宿の名物で現在のものとは製法も違っていたが、宿場町の衰退に伴い、同じ酒粕を使った奈良漬に吸収されてしまった。都市化で農地も消え、大根自体の生産も無くなってしまった。現在では岐阜県と愛知県で栽培された大根を使う名古屋で開発された製法で作られたものが守口漬と呼ばれており、東海地方に住む我々には馴染みのある存在となっている。
守口市でも近年、地域の名産品として守口大根を復活させる流れがあり大阪府の「なにわの伝統野菜」にもなっている。守口市のシンボルキャラクターのもり吉のデザインにも、守口大根が取り入れられている。
後は守口市と私たち三重県民とのつながりといえば、三重県出身の大作家・江戸川乱歩が市内に暮らしていた頃、D坂の殺人事件などの名作が生まれている。それら作品で私が特に気に入っているのが人間椅子。とある家具職人の独白が綴られているこの短編小説は、とにかく不気味かつ倒錯的。背徳に彩られた蠱惑的な描写に導かれ、どんどん読み進めたくなる不思議な魅力に満ちている。その感覚は、引き込まれるというよりも、引きずり込まれるといった表現がぴったりかもしれない。ちなみに乱歩の作品は著作権が消滅しており、人間椅子も含め、インターネット上の青空文庫で楽しめる。もし、読まれていない方には、ラストシーンの衝撃を是非味わって頂きたい。
守口市を超えると、いよいよ大阪市鶴見区。市境には、平成2年に行われた国際花と緑の博覧会のメイン会場跡地を整備した「花博記念公園鶴見緑地」。両市にまたがる形で立地しており、府民の憩いの場として親しまれている。
無数にそびえたつ建物をかき分けながら、国道を突き進む私。国道の始点にもかなり近づいている。戦に例えるならば、後は本陣に攻め込むのみ。大将首をねらう荒武者のように私の気持ちはたかぶっている。(本紙報道部長・麻生純矢)