児童生徒の携帯・スマホの所持率は津市や松阪市でも年々増加している。また先月には文科省が、小中学校への携帯の持ち込みを「原則禁止」とする方針を見直すことを発表。解禁された場合は所持率の急増が予想されることもあり、健全利用や情報リテラシー育成のため家庭でのルールづくりなどに学校・保護者などが連携し取り組むことが喫緊の課題。両市では、中学生やPTAによる取り組み事例もある。

 

 

家庭でのスマホの使用ルールづくりを呼びかける松阪市教育委員会のパンフレット

家庭でのスマホの使用ルールづくりを呼びかける松阪市教育委員会のパンフレット

3月は進学・進級を機に携帯やスマートフォン(スマホ)を使い始める子どもも多い。所持率が全国で年々増加する一方、長時間利用により学習に支障が出たり、ネット上のやりとりがいじめなどのトラブルに発展するケースが社会問題となっている。
津市で市教育委員会が平成26年に行った調査では携帯・スマホの所持率が小学生は43・6%、中学生は69・5%。また松阪市でも所持率は高く、29年度全国学力・学習状況調査では児童生徒が月曜~金曜に1日2時間以上、携帯・スマホで通話・メール・ネットをする割合が全国平均を上回り、小学生は14・6%、中学生は37・4%だった。
先月には、文科省が、小中学校への携帯やスマホの持ち込みを、学校での教育活動に直接必要ないという理由で「原則禁止」とした21年の通知を見直すことを発表。高い普及率や、災害時の連絡手段になることを踏まえたもので、来年度中にも新たな指針が作られる。
津市・松阪市の教育委員会は現在、現行の通知に沿って持ち込みを原則禁止としている。今後解禁された場合、所持率が急増し、所持の低年齢化が一層進むと共に、登下校時の利用マナーなど新たな課題も生まれることが予想されるため、健全利用や情報リテラシー育成に児童生徒や学校、家庭、行政などが連携した取り組みが欠かせない。
両市での取り組みの内容や充実度は学校や地域によって様々。市教委がパンフレットなどで啓発しているほか、津市では平成27年、市立中学校20校の代表者40名が会議し、市教委の調査結果をもとに携帯・スマホの利用に関する課題を整理。保護者の意見も聞きながら、使用時間やフィルタリングなどに関するルールを定めた津市中学生「ケータイ安全利用宣言」を決定した。
また松阪市PTA連合会北ブロック会長会では2年前、保護者からの提案をきっかけに「携帯電話・タブレット利用におけるガイドライン」を作成し周知に取り組んできた。子どもの一番近くにいる保護者が正しい使い方や危険性を伝えることが大切という思いで、保護者対象のアンケートなどで情報収集し1年間協議を重ね作られたもの。
北ブロックは三雲・嬉野地域で幼稚園6園・小学校9校・中学校2校があり、ガイドラインの内容は中学生対象だが、小学生の保護者にも中学入学に先駆けて配布している。同連合会会長の前田則生さんは、「地域、学校で取り組む体制を今からとっておかないと、何かあってからでは遅い」と話した。
このような取り組みは子どもが携帯やスマホに関するトラブルを抱えるのを防ぐのにとどまらず、将来にわたり情報社会で生きていくうえで重要な、ネット活用能力の土台づくりにも繋がる。
まず、各家庭で話し合って子どもの発達段階などに合った利用ルールをつくり、定期的に効果を検証し、実情に応じた改訂を行うことが重要。そのために子どもを導く教員や保護者ら自身もスマホやネット活用の知識、マナーを身に着けることが不可欠となる。