増加する地域の耕作放棄や遊休農地の増加を食い止めようと、4月29日、津市栗真町屋町で「町屋地区荒廃農地対策協議会」が設立された。かつては日本有数のピーマンの産地だった同地区も現在では後継者不足から、地域内の農地40㏊の半分近くが荒廃。そこで農家と非農家問わず一丸となった地域住民と、行政、三重大の連携による先進的な取り組みで未来に引き継ぐ農地の有効活用をめざす。

 

 

荒廃した農地

荒廃した農地

荒廃から復活させた農地

荒廃から復活させた農地

三重大学も立地する津市栗真町屋町は、海辺に広がる住宅街として知られる。今では知る人が少なくなったが、かつては日本一とも称されるほどのピーマンの大産地で畑が広がっていた。しかし、経済の発展などの影響で、ここ30年の間に後継者不足から耕作放棄地が増加。専業農家が多く、一人当たりの所持する面積が広いため必然的に荒廃する農地が目立つようになっていった。
荒廃した農地は、草だけでは無く、木が生い茂り、景観を損なうだけでなく、虫が発生するなどの実害も発生していた。
更に荒廃していくことを危惧した元県職員で農業委員の坂野大徹さん(59)らが中心となった地元関係者と、津市関係者が、平成29年10月に話し合った。
その後、自治会が耕作放棄地についてのアンケートを実施。平成30年3月にその結果をまとめたところ、耕作放棄地の増大は好ましくないという意見が大勢を占めた。それを受け、同年5月末、津北部地区農政推進協議会で、町屋地区の荒廃農地解消に向け協議した。
同年6月から今年3月まで、三重大学生物資源学部の教員と打ち合わせし、荒廃農地の現状を共有した上で、立地を生かして三重大学の学生の実習場をつくったり、解消に向けた取り組みを話し合った。また、先進地の視察なども行った。
その後、荒廃農地の持ち主の理解と協力を得て、草木が生い茂っていた30aを開墾。三重大がヒマワリやゴマなどのエネルギー植物を植える実習を行っている。
4月29日には「町屋地区荒廃農地対策協議会」が設立され、坂野さんが会長に就任。副会長はキュウリの六次産業化を手掛ける水谷農園の水谷隆さん(65)、非農家で地域住民のまとめ役を担う伊藤嘉三さん(74)が就任。地域と三重大と津市と県による連携を核に、農家と非農家が一丸となって耕作放棄地の解消と活用について考えていく。非常に先進的な取り組みで津市のモデル事業にもなっている。
圃場整備事業は水田がほとんどだが、坂野さんは「地域内の荒れた畑を県営事業として圃場整備してほしい」と呼びかける。復活させた農地は、三重大の実習や地域の人が耕作をするだけでなく、地域の新たな特産品生産や観光農園を経営して雇用を創出することなども視野に入れている。
荒廃農地の解消は、津市のみならず、地方が抱える大きな問題だけに、この取り組みの発展にも注目したい。