ライフ・テクノサービスの中川常務

ライフ・テクノサービスの中川常務

津の経済界の次代を担う人物をクローズアップする新連載。初回は、福祉用具のレンタル・販売から、介護施設の運営などを手掛ける三重県を代表する介護のトータルカンパニー「㈱ライフ・テクノサービス」=津市中央=の常務取締役・中川敬史さん(37)。
同社は平成9年(1997)設立。元々は医療機器の輸入事業を行っていたが、介護保険制度の施行に合わせ、リハビリ機器の輸入を開始。福祉用具の販売やレンタルを手掛けるようになった。やがて、道具だけではサポートできないような事例に対応した建物のバリアフリー化、その延長線上で介護施設を運営するに至った。また、車椅子や手すりなどは現場を知り尽くした立場だからこそつくれる自社製品を開発している。現在では、三重県の介護業界を牽引する企業に成長。
施設の規模で収益が限られてしまう介護制度の構造上、低賃金・重労働によって、人手不足が慢性化している介護業界だが、中川さんは「介護福祉を憧れられる仕事にしたい」と大きな目標を胸に試行錯誤を重ねる。
収益率を上げるため、欠かせないのが現場の効率化。そのために、機械にできることは機械に任せ、人の手でしかできないことを選別することがまず必要となる。IоTを活用し、自社独自の顧客情報管理システムを構築。福祉用具の利用者が自社の施設に入所した場合、過去の利用歴をケアマネージャーや現場の担当者がタブレット端末を通じて確認し、適切な介護を行っている。その他、利用者の部屋に身体の動きを察知するセンサーを設置することで、よりプライバシーに配慮しながら、職員が巡視しなくても正確な状態が把握できるシステムなどを活用し省労働化も図っている。
自社の介護施設の立地は町はずれの山の中ではなく、利用者が慣れ親しんだ町から離れなくて良いようにと都市型が中心。職員の利用者に対する言葉遣いも徹底するなど、サービス業としての介護を確立するため、地道な努力を欠かさない。
今年4月から始まった在留資格「特定技能」を活用し、外国人労働者を積極的に雇用。業界にありがちな人手不足を補う労働力としてではなく、日本の介護を学んでもらい、母国に帰った後も事業を自分で行えるよう人材育成にも注力。外国人ならではの視点を現場に取り入れながら、介護の質の向上も図っていく。
「職員全員が自分たちにできないことに気づくのが重要で、今をベストと思ってはいけない。目標へと続く小さな階段を上ることが大切。完璧でないからこそ、この会社には魅力がある」。介護の変革による新たな価値観の創出をめざす〝次代の旗手〟は至って謙虚で慢心とは無縁。
企業の発展に従い、大都市へ進出することは珍しくないが、同社は三重県内での展開に、強いこだわりを持っている。「三重のお客様が本当に満足するまでは出ない」と力強く語る中川さん。
「自分たちの子供に故郷を残したいのであれば自分たちが動いて作っておいてあげなければならない。自分たちがここに居られるのも20年前の先人のおかげ。その想いを受け継ぎ、私たちが繋ぐ。それを忘れてはいけない」と深い郷土愛を胸に介護の未来を切り拓く。