三重県は平成25年度、獣害対策で捕獲された鹿・猪肉の利活用のため「みえジビエ」登録制度を開始。知名度は向上しつつあるものの、品質・衛生管理マニュアルの一部が必要以上に厳しく守るのが困難で、解体処理施設の登録が8件(津市2件、松阪市0件)と少ないこともあり、効果は極めて薄い。津市内の獣害対策関係者からはマニュアルの改善や、インフラ面の支援を求める声が出ている。

 

 

「みえジビエ」の制度や商品のチラシ

「みえジビエ」の制度や商品のチラシ

三重県では全国同様、鹿や猪による獣害が深刻で、駆除のため捕獲された個体の利活用も含め対策が喫緊の課題。
そこで県では平成25年度、安全・安心で美味しい鹿肉・猪肉を提供する「みえジビエ登録制度」
を開始。登録対象は、食品衛生法の規定に加え県独自の基準を定めた「品質・衛生管理マニュアル」に基づき鹿・猪を解体処理、加工、販売、調理して提供している施設。登録施設で様々なメニューが開発され、特産品として広まりつつある。
しかし一方で、獣肉の利活用への効果は極めて薄い。平成29年度に県内で捕獲された猪・鹿は計約3万6345頭(津市では約7300頭、松阪市では約3350頭)、そのうち、みえジビエとして利用されたのは1029頭で、わずか3%ほど。そのほかの個体の多くは行き場がないため埋設処理されている。
原因の一つが、マニュアルの県が定めた基準の一部が、必要以上に厳しいこと。
例えば捕獲時に個体にとどめを刺して放血後、夏は60分以内、冬は90分以内に解体処理施設に搬入しなければならない。しかし、施設は県内で8件、津市内では美杉町に2件と少なく、松阪市に至ってはない。このため、捕獲の条件が、施設から近い山で頂上ではなくふもと付近で行うなど限られる。また解体処理施設は整備に莫大な費用がかかるうえ、鹿や猪の捕獲数が不安定で経営が予測しづらいため、今後も大幅な増加は見込めない。
津市内の獣害対策関係者からは、先進地のように行政による解体処理施設整備を求める声も上がっている。またある猟師は「山の上のほうで捕獲しても、搬入に時間がかかるためみえジビエにできないことも多い。三重県は日本一厳しいマニュアルがあっても、獣肉の活用は1歩も2歩も遅れている」と指摘する。
みえジビエ登録制度の根本的な問題は、捕獲された獣肉の活用策でありながら、厳しいマニュアルによって供給量が限られるという大きな矛盾。制度の最大の目的は何か、原点に立ち返り考えるべきだろう。