テレビをつけると、スペインの港町を紹介する番組だった。店をのぞき込み、街の人と話してカメラが進んでいく。こんな風に外国を歩いてみたい。私がたまに行く海外は、いつも忙しいツアーで集合時刻とトイレを気にしてばかり。
それでも訪れた国には親近感を覚える。北欧へ行ってから、北欧ミステリーが好きになった。きれいな場所ばかり観光してきたけれど、社会の暗部はこのようかと、改めて知った。もちろんフィクションだから書いてあるそのままが存在するわけではないが、社会の問題点に目を向けるのはどこの国の文学でも同じだ。
チェコやハンガリーへ行った後には、プラハの春やハンガリー動乱についての本を探した。世界史や地理を勉強するにもフィクションでなら取っつきやすい。
この間読んだアメリカの小説では、オバマ以後の南部について知ることになった。いまだにこんな人種差別があるかとアメリカに幻滅した。アメリカに行きたいと思わない。
今興味があるのはアイスランドだ。アイスランドという国を知ったのもミステリーだ。アーナルデュル・インドリダソンの描く陰鬱な風景をきっかけとして調べてみたら、アイスランドはオーロラと火山と滝の国。何と雄大な自然があることか。
読んでから行くか、行ってから読むか。私の中で旅行と本はリンクしている。   (舞)

6月23日に本格オープンした「ご飯屋たかみや」

6月23日に本格オープンした「ご飯屋たかみや」

津市美里町足坂の旧高宮小学校に6月23日、足坂農家組合女性部「元気(まめ)ファミリー」のメンバー13名が運営するコミュニティカフェ「ご飯屋たかみや」が本格オープンした。
毎月第4日曜8時に開店し、美里在来大豆や地元野菜を使ったモーニングを100食限定で提供する。価格は300円。
カフェを主催するのは地域住民でつくる「高宮ふるさと協議会」=川口幸治会長。高宮小を含め同町内の小学校3校は少子化の影響で美里中学校と合わせて再編されることとなり、2017年3月に閉校。以来、各小学校区の住民が、地域活性化を目指し旧校舎の利活用に取り組んでいる。
そのうち同協議会では美里在来大豆を使った食を提供するスペースとして運営してくれる団体を探し、元気ファミリーが引き受けた。
本格オープンの日には開店前から町内外の人が大勢訪れ、豆ごはんや味噌汁、おしゃれに盛り付けられた手羽元の照り煮などを食べながら談笑していた。今後のメニューは洋食が多くなるとのこと。
元気ファミリー代表の千種恵美子さん(69)は「みなさんにここに来て、集ってほしい。今は田舎でも、『隣は何をする人ぞ』。住民同士が疎遠になっていますが、ここで顔を合わせて地域の繋がりができれば」と話した。

団塊の世代が2025年に75歳を迎え、医療、介護のニーズは今後急速に高まっていく。同時に、高齢者等の運転による事故のニュースも連日のように報道される。三重県は、JAFが昨年行った信号機のない横断歩道で歩行者がいた時の車の一時停止状況が、全国ワースト3なのだという。
「安全安心」移送が必須な患者等搬送事業者としてドライバーの視点で見たとき、これだけ各地で悲惨な事故が発生しているにも関わらず、すべての年代で運転中のマナー、注意が成されているのだろうか。日々の仕事で考えさせられる時がある。
当社の搬送案件も、救急車を呼ぶほどでもない人からの依頼や、自宅で暮らす高齢者が体調変化して寝たきり、医療継続中だが外気が高温多湿の中脱水状態で立ち上がれない人など、夏場特有の状況と思われる搬送、長距離の移送が連日続く。中には、依頼を受け自宅に着いた途端、室内で意識が朦朧となっており、救急車を呼ばざるを得ないこともある。
この日、患者搬送中に目の当たりにした光景は、今でも脳裏から離れない。国道23号線を走行中、上下8車線の交差点へ差し掛かった途端、目を疑う光景が目に写った。外気が高温の中、着のみ着のまま厚手の外套の様なものを被り、素足で横断歩道をとぼとぼ歩く人がいる。
一見散歩中のようだが、よく見ると姿が異様。高齢者なのか、信号も把握できていないようだ。怒濤のごとく走行する車輌、信号が変わるのを待っている人達も、誰一人としてこの人を助けようとしない。こちらは患者を乗せていることもあり、交差点付近での停止は危険で出来ない。すぐさま路肩に車を寄せて、110番にコールし状況を伝えて救援を要請した。直後、この人や横断歩道近辺にいた信号待ちの人達を見ると「すぐ助けなくては」という動作は確認されない。それどころか、「誰かが助けるだろう」という光景が見てとれた。
走行中の車も、より一層の注意が必要な状況の中で、「誰かが停まって何とかしてくれるだろう」という感じで、三重県の停止ワースト3そのものを連想させた。
殺伐とした日が続く反面、朝夕の通勤時間帯には交通ボランティアや父兄らによる通学路での見守りが、ドライバーや横断歩道の人達に更なる注意を喚起してくれ、心の暖かさも感じる。児童や高齢者、一般の運転者にも、今まで以上の安全意識の徹底に繋がるだろう。
車が停まるだろう、停まってくれるだろうという考えは、悲惨な結果を招き、時に命の危険をもたらす。今後も患者搬送業務の中で、今一度、基本に戻って気を緩めず、他車の模範となる患者移送を心がけていきたい。(民間救急はあと福祉タクシー代表)

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