私の周りの話題は、いまだに老後資金二千万円問題である。「二千万円でええの?もっと用意してあるわ」と言い放つ人やら、「食費使いすぎ。身の丈に合った暮らしを」と計算を始める人やら、「病気持ちやから私は百まで生きない。たいして要らん」と自信たっぷりに言う人やら。ともかくも、寿命という不確実なものを相手に計算機をたたいても納得できる答えは出てこない。
いつごろからか長生きは喜ばしいことではなく、リスクとされるようになった。そして今、同じようにリスクとされるようになってきたのは子どもの存在である。
働かないで家に閉じこもる子どもがいる。親が高齢になると暮らしの先行きに黄信号が点る。
働いてはいても、親に掃除洗濯炊事を任せきりで、結婚もせずに中年を迎える子どももいる。キツネやクマでも子別れするのに、子ども部屋に四十年暮らしているのはどうかと思う。
りっぱに働き、家庭を持って別に暮らしていても安心できない。近頃は正職員であっても、楽ではない。通信費教育費娯楽費。昔はそれほど要らなかった経費が増大している。子供世帯の暮らしがカツカツだったりすると、親世代に援助を期待する。
子どもや孫に囲まれ長生きすることが老後の幸せの形だったが、いつの間にかそれがリスクと言われる。なんとも不条理だ。       (舞)