「高田中学校・高等学校(6年制)」の生徒有志が、名古屋産業大学、㈱フューチャー・ファーム・コミュニティ、㈱赤塚植物園の協力を受けCO濃度を測定してデータを収集するなど環境学習に取り組んでいる。今月31日には、同じく環境学習に取り組む台湾の大同高校とお互いがまとめた調査結果を発表し、インターネットを通じたテレビ会議を開催するなど、文科省の進める探求的な学習を実践している。

 

 

環境学習に参加している生徒たち

環境学習に参加している生徒たち

三重県屈指の進学校としても知られる「高田中学・高等学校」=津市一身田町=。2017年より「高野尾花街道 朝津味」=同高野尾町=を運営する「㈱フューチャー・ファーム・コミュニティ」、多様な植生で環境学習の場となるレッドヒルヒーサーの森=同高野尾町=を持つ赤塚植物園、CО濃度調査に基づく環境教育プログラムの開発と実践に取り組む「名古屋産業大学」=愛知県尾張旭市=の協力を受け、産学連携による環境学習を行っている。目的は、世界的な課題である環境問題に対して、未来を担う若者たちに、自らの課題である認識を持ってもらい、それを周囲に伝えられる人材育成。現在、中学から高校まで35名の有志が参加。
環境学習は、3カ年計画で初年度の一昨年には同大学の伊藤雅一教授から、地球温暖化を防止するための国際的な協定であるパリ協定によって大幅な削減が求められるCOの実測データに基づく、学習の意義を学んだり、岡村聖教授と共に、ヒーサーの森でCO濃度測定器などを使った調査や実験を実施。昨年には、学校内にCO濃度測定器を設置し、定点観測を行いデータを収集。生徒たちが、収集したデータをコンピューターなどを使い分析。伊勢湾から学校に向かって吹く風のCO濃度が高いことに着目し、海中のCOを吸収する植物性プランクトンが減り、COを排出する動物性プランクトンが増えている可能性があるという仮説を岡村教授と共に導き出している。
そして、3カ年目の今月31日には、同じく名古屋産業大学が環境学習の指導を行っている台湾の大同高校と、インターネットを通じたテレビ電話で世界共通の課題である地球温暖化の防止をテーマとした会議を実施。生徒と教員の交流を図る。その翌日には、朝津味で生徒たちは近隣の小学生を対象に、自分たちが学んだことを伝える。
テレビ会議を前に、同校の林翔太さん(16)は「世界の環境問題について改めて考えたい」、成尾和真さん(15)は「日本人との目線の違いを感じたり、同世代との生徒との交流を生かしたい」と語り、谷信孝さん(15)は小学生への環境セミナーに向け「自分たちで学んだことを伝えたい」と意気込む。
同校の環境教育が国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)をベースにしていることから、低炭素社会の実現に向けた教育の実践の場として、ユネスコスクールの認定を申請中。認定されれば、県内で3校目。
また、生徒自らが課題を定め、必要な情報を集め、整理・分析を行い、まとめ・表現する文部科学省の学習指導要領に盛り込まれている探究的な学習をいち早く実践することの意義も大きい。