蒲生氏郷 ㈱ポプラ社刊のコミック版日本の歴史72『戦国人物伝 蒲生氏郷』が全国の書店で販売中。原作=水谷俊樹、漫画=中島健志。A5判。全126ページ。定価1100円(税込)。
豊富なラインナップで人気武将から知られざる英雄まで歴史上の人物の生涯を一人一冊費やし、じっくりと描くことで歴史が楽しく学べる児童向けの学習漫画シリーズ。
ストーリーや時代背景などは、作家・歴史家の加来耕三氏が徹底監修。本書でも企画・構成・監修を担当。原作の水谷さんは尾鷲市出身で、津藩祖・藤堂高虎を描いた同じシリーズのコミックでも原作を手掛けている。
本作では、織田信長と豊臣秀吉に仕え、松阪の基礎を築いた蒲生氏郷の生涯を描いている。
近江国(現在の滋賀県)の守護大名・六角氏の家臣の家に生まれた氏郷。少年時代、父が仕えた信長に人質として差し出されたが、その才覚を見出され、信長の愛娘・冬姫と結婚。氏郷も信長を師として敬愛し、数々の戦で武功を上げながら、一流の武将へと成長する。
本能寺の変で信長が明智光秀に討たれた後は秀吉に仕え、小牧長久手の戦いの功績で与えられた松坂(松阪)を大きく発展させる。
その後、秀吉に乞われ、徳川家康、伊達政宗、上杉景勝への抑えとして会津若松へと移るが、病に倒れ、天下人の器と称されながらも、わずか40歳でこの世を去る。
本書の中でも、津市に拠を構えていた木造氏との戦いや松坂を商工業の街へと成長させていく様子も描かれており、この地域の歴史を学ぶきっかけにもなる。
水谷さんは「年上の人の話を聞く素直さがあったといわれる氏郷のように、子供たちには先人の声に耳を傾け、成功譚や失敗譚から教訓を学ぶようになってほしい」と話している。