発達障害のリアルを当事者・専門家らが語る対談連載。発達障害は、生まれつき脳の発達が通常と違うために幼いうちから現れる様々な症状。出生率は数十人に一人と言われる。前回に続き、発達障害者の就労について当事者の母・山根一枝さん、飯田あゆみさんが語る(敬称略)。

 

山根一枝さん 三重県自閉症協会ペアレントメンター津市在住。息子は単身上京し会社勤務。

山根一枝さん
三重県自閉症協会ペアレントメンター津市在住。息子は単身上京し会社勤務。

飯田あゆみ さん 生活介護サービスあゆか(松阪市)代表。息子は高校3年で、就労継続支援A型。

飯田あゆみ さん
生活介護サービスあゆか(松阪市)代表。息子は高校3年で、就労継続支援A型。

飯田 私の息子は、就労支援継続A型事業所の飲食系に就職が決まりました。就活中は一般就労という選択肢もあって本人も私も悩み、私は当初、給料が比較的多い一般就労が良いのではと考えていたんですが、最終的に本人が選択しました。
親は「子供がやりたいことをやる」という目的をついつい忘れ、自分の思いや世間体を気にしてしまいがちですが、「これは良い、これは嫌」という自己主張ができるのは、生きていくうえでとても大切なこと。だから、親が子供の長所も短所も理解し、将来の選択肢を沢山与えてあげないと。
山根 さらに、健常の人でもそうですが、障害のある子も学生のうちに色々なアルバイトを経験することができれば、自分に合う仕事がわかるし、地域社会に馴染みやすくなると思うんです。
飯田 特に飲食店の仕事は身近だから憧れる子も多いし、気配り・会話・段取りが学べる。この3つができるようになれば、とても生きやすくなる。でも障害者雇用は接客業が少ないですよね。
山根 そうですね。私は昔、地域のスーパーに息子を働かせてほしいとお願いしましたが、来店客に何を質問されるかわからないので、お客さんのいない社屋内の仕事には雇用できるけど、店内の仕事は無理と言われました。だけど、スーパーは日常的に来店する人が多いので、そんなに難しい質問はされないと思うのね。しかも、発達障害の特性で商品を日付順に並べるのが大好きな子が沢山いるんです。
飯田 普段、障害者と関わりのない人は、どう接したら良いのかわからないみたいです。関わるのが苦手と感じている方も、実際関わることで「そんなに難しいことでもないやん」と気づいてもらえる場が欲しいです。
(次号に続く)