全国で台風による水害多発  津市は海岸堤防整備・河川改修進める

前葉泰幸津市長

前葉泰幸津市長

草深靖志支部長

草深靖志支部長

伊藤宏一副支部長

伊藤宏一副支部長

後藤昭久相談役

後藤昭久相談役

鈴木直樹副支部長

鈴木直樹副支部長

松田貞司副支部長

松田貞司副支部長

伊藤 明けましておめでとうございます。今回は、令和初の放談会です。まず前葉市長からお話頂ければと思います。
前葉 皆さん、明けましておめでとうございます。令和元年は非常に災害の多い年でした。台風19号をはじめ全国を襲った台風による水害があり、私ども三重県にも被害をもたらしました。そんな中、国が平成30年度から令和2年度まで「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対宅建参加者表策」に取り組んでいます。
津市の場合は、大きく、海岸堤防の整備、河川の改修の2つがここ数年取り組んできた事業で、これらをさらに進めるために、国の予算が必要です。同対策の予算のおかげで、例えば雲出川の事業費は例年約6億円ですが、令和元年度は12億と2倍。阿漕浦・御殿場、栗真町屋の海岸堤防を対象とする直轄事業の事業費は例年、約10憶円ですが15憶円と1・5倍です。
事業が少しでも進むように、我々は国に対してしっかり要望していかなければいけません。そのうえで、防犯灯、防犯カメラとかソフト面でも色々とやらなければいけないことがあるので、それらにも取り組みながら、安全・安心な街づくりを進めていきたいと思っています。
草深 昨年の日本は、温暖化によって深刻な災害に見舞われたと、私は思っています。各地で大きな台風による集中豪雨がありました。夏の高温多湿の気候も災害のひとつかなと。市民として、防災にはインフラの整備だけではなく、災害時にいかに自分の命を守る行動をするかも重要だと思っている次第です。

大型防災拠点整備を   官民一体の被災者支援対策

鈴木 私は自然災害の復旧、被災者支援についてお話させて頂きます。
災害発生後、ボランティアが来てくれたり救援物資が届いた際に、大規模な防災拠点がないため受け入れが困難になるということをよく耳にします。街づくりにおいて、大規模な防災拠点をつくるというのも重要なことの一つかと思います。簡単に大規模防災拠点と言っても、整備に莫大な費用がかかることを考慮すると行政だけに頼るのは難しいので、立地的に有効な場所ならメリットを感じる民間業者も出てくると思います。
例えば観光施設を併設し、ヘリポート、避難所があり、ボランティアや救援物資の受け入れなどを行う大型防災拠点をつくることができるように、色々な法整備があるとは思いますが、官民一体となりマスタープランの指定、地区計画等によって災害に強い街づくりを考えることを提案させて頂きたいです。
市長 そうですね、非常に大切なポイントだと思います。津市は広域的な輸送拠点として「道の駅津かわげ」、「安濃中央総合公園」、雲出伊倉津町の「防災物流施設」の3つを想定しています。プッシュ型支援(被災した自治体からの要請を待たずに、必要不可欠と見込まれる物資を緊急輸送する支援方法)を受けた場合の展開は、災害の状況によって変わると思うんですよね。
例えば、久居が大きな役割が果たしそうな、沿岸部がかなり厳しい状況というのは十分に考えられます。その場合、昨年、半田にオープンした「津南防災コミュニティセンター」が一つの中継拠点になり、久居の自衛隊に運ばれ、かなり大きな動きになると思います。
一方で、沿岸部に津波の被害がなく地震だけという場合、雲出の物流施設の近隣の伊倉津埠頭に船、ヘリポートにヘリで物資が届けられ、物流施設で仕分けしてそこからどんどん持ち出すということはあり得ると思います。そこで足りなければボートレース場を使うことも想定しています。  この辺り、人がどう避難するかも関係するんですね。昨年、防災計画の改定で、令和元年度中に避難計画を策定するとしました。3月までに、広域的な避難のあり方について、人がどう逃げるか、物資をどう運ぶかをもう少し緻密に決めたいと思います。

 

住民の命守る取り組みと  都市計画の方向性議論も

松田 私は長年、津市の中心部に住んでいるんですが、旧津市地域の河川の洪水ハザードマップ、都市計画の用途地域の区分の地図を重ね合わせると、河川の洪水の可能性があるという津市の中心市街地がほぼ真っ赤です。
特に商業地域、津新町駅周辺も含め全て、その範囲に入っています。

これは24時間内に700㎜、かなりの量の雨が降った場合のハザードマップで、最大規模の洪水があった場合、最大3m浸水するという恐ろしい想定です。津市の経済圏が、もしものときには壊滅状態になってしまうかもしれない。
現在、市内の商業地域には空き店舗が多いですが、新規出店する企業が少ないのは、こういった災害に備えができていない状況も原因ではないかと。すぐに対策するのは難しいと思いますが、市長としてはどのようにお考えですか。
市長 そうですね。津市の河川で一番大きい河川は雲出川で国が直接管理し、そのほかの河川は県、市が管理しています。
県の管理河川の場合、雲出川ほど沢山のお金を一度に投じるのが難しい中、県も少しずつ整備を進めてくださっています。例えば、一番古い江戸橋が架け替わりましたがあれは河川工事でやって頂きました。最も、道路幅を広げるので、津市に75%の請求書は回ってきて30憶円のうち22・5憶円を津市がお支払いしましたが。ただ施工は県でやってもらいました。あの工事により流下能力が高まりました。このように河川の整備も一歩一歩進んではいるんです。
だからと言って、今回ご紹介頂いたハザードマップで想定されている24時間700㎜というかなり大量の雨が降った場合については、絶対に浸水はありませんとは言えない。そういう場合にどう逃げるかを考えてほしいと国が作成を推奨し、県が想定を出して、私共がそのデータを頂いて作ったマップですので、このマップは将来起こり得る現実ですから、それについて考えていかなあかんと思っています。
そして、これは街づくりの大きな話になりますが、明治以前から拓けてきた津の街の河芸から香良洲にかけての沿岸部が、どういう風に姿を整えていくのかと言うと、西のほう、高台を志向する工場・事務所・住宅が増えているのは紛れもない事実ですし、何も津市だけに起こっている動きではありません。
従って、うんと長い目で見れば街は西へ移っていくと思いますが、現に、松田さんがお住まいの北町でも、大門周辺でも生活や商業活動が行われているわけです。その方々の命を守る取り組みを行いながら、大きな都市計画をどう考えるのかを皆さんで議論していくことが大切だと思います。

遠野市の後方支援視察    東日本大震災で大役果たす

後藤 私は、東日本大震災で被災地の後方支援を行った岩手県遠野市に昨年行ってきました。当時、遠野市の市長は被災地から助けを求められ、自衛隊、消防、警察を集めて後方支援部隊を作り、食糧輸送などを行ったそうです。その体制のビデオを消防署長室で見せてもらい、後方支援において結束がいかに大事だったかや、遠野市長は立派な方だということを感じました。後方支援をやり切り多くの人を助けたことを、全国や津市の方にも知って頂きたいです。
津市にも久居に立派な自衛隊がありますし、警察、消防隊と合わせて3つは絶対連動して頂き、後方支援が必要とされたらすぐに発動できるようにしてほしい。
災害の備えを考えたとき、今、津市も取り組んでいる地籍調査、セットバック、空き家問題も道筋が全て繋がってくるんです。我々宅建協会は、津市を含め三重県中で、ずっと前からこれらの課題に取り組むよう繰り返しお願いして、前葉市長のおかげで実現し、地元の方々の協力があり着々と成果を上げています。
市長 地籍調査は、香良洲で始めたところ、立ち合い率97・9%ということで、ものすごく効率が良かったです。その話が伝わった河芸の方々から自分達も早くやってほしいという声が届いて、河芸は少し前倒しをしてスタートしました。それで今、河芸も立ち合い率ほぼ全部と伺ってますので、これだけ市民の皆さんに地籍調査の意味合いをご理解頂いて、ご協力頂ければ、どんどん進むんじゃないかと。
平成26年頃の地籍調査の予算が1300万円でしたが、昨年は2憶4000万円と約20倍。国や県のお金は、とれるものは大きな口を開けて全部頂いているという状況です。これからも地籍調査はしっかり進めていかなあかんと思っています。

 

自分の命を守る備えを    早期避難の啓もうも重要

草深 冒頭申し上げたように私は防災・減災にはインフラの整備も大切だと思うんですが、松田さんが言われたように、津市の中心部は集中豪雨による洪水で、3mほど浸水する可能性がある。3mと言うとだいたい建物の1階部分の高さで、2階に避難できれば助かりそうなので、平屋に住んでいる方は、普段から近所の仲の良い、2階以上に住んでいる方に、いざというときは避難させてと頼むくらいの連携というか、地元の中で自分の命を守る備えが大事だと思います。
またケーブルテレビで津市の番組が放映されていますが、例えば災害時の避難などに関する映像を作り定期的に放映することで、高齢者などの市民が、災害が起こる前に、ご自分の判断で早く非難する気持ちになるような啓もう活動が大事かなと思っています。
市長 逃げるということの大切さを東日本大震災を経験なさった方が、直接語っておられる。それを我々が直接聴く機会も大切かなと思います。

 

内水ハザードマップ必要    浸水しない都市排水が課題

松田 昨年の台風で東日本は大きな被害があり、都心部では内水氾濫、いわゆる下水が氾濫して被害が大きくなりました。津市の場合、河川のハザードマップはあるんですが、内水氾濫についてはありません。我々宅建業者としては、今後、内水氾濫についても事前に情報提供することが必要になるのではないかと思いますので、できればそういうこともお考え頂ければ。
市長 津市、特に旧津市、昭和49年の志登茂川災害以降、ポンプ場の設置をものすごい勢いで進めてきました。現在、雨水排水施設が47施設あり、その中で公共下水道施設が17、河川施設が30です。また、久居地域は高台であるものの、内水の排水が大きな課題です。最終的には相川がどこまで受けられるかなんですが。ですから旧津市、旧久居市は、水に浸からない都市排水が非常に重要なテーマであると認識しています。
そこで、これまで雨水は下水道で受け止めるという一本やりの路線だったんですが考え方を少し柔らかくして、一昨年3月に「津市雨水管理総合計画」を策定しました。 これは、市内の浸水対策が急がれる地域をピンポイントで指定し、そこで何をやるかと言うと、一つは排水路の整備。これにより、土地利用の在り方が変わってきているようなところがよくあるんですよね。
それから農業用ため池の多くがもう利水に使われていません。それを調整池に変えていこうと。つまり、所管を農林から土木、建設に切り替えていこうというようなこととか。農業用排水路も、一部建設の排水路に切り替えることもしながら、総合的な雨水管理を始めました。
10年で100憶円の事業費をかけて、新しい時代、令和時代の雨水・排水管理を行っています。その中で、内水ハザードマップは確かに作成しておりませんけども、私共の今の下水道事業計画の中では、いずれそういうマップを作ることをしっかり目標に掲げていますので、今から10年間の取組みの中で、もっと市民の皆さんの目に見える形で、雨水の排水を進めていきたいと思います。
伊藤 僕はこの業界でお世話になって約40年になりますが、40年前ならちょっとが降ったら浸水していた道も今は結構降っても浸からないんですね。津市が排水を頑張ってやってきたおかげかなと。
逆に、下水のほうは遅れてしまいましたね。優先順位を考えたら排水が先になるのは当然なので仕方ないとは思います。
市長 下水のほうは志登茂川下流の処理場ができましたので、これから汚水に関する面整備もどんどん進めていきたいと思います。
伊藤 令和の新たな時代も津市が発展し皆様がご活躍されることを期待致しまして、終了とさせて頂きます。本日はありがとうございました。