新型コロナウィルス感染拡大による政府の自粛要請で津市でも次々とイベントが中止となっているが、官公庁や学校も多い土地柄もあり、それに引っ張られる形で送別会や謝恩会などの宴会が軒並み中止に。飲食業者を筆頭に打撃を受けた企業も少なくない。先の見えない状況に不安が広がっているが、終息に備え、地域経済の主役である市民が感染拡大防止と経済活動の両立を意識することが重要といえる。

 

 

新型コロナウィルスの影響は終息が見えない状況が続いている。三重県でも3月19日現在で感染者は9名にまで拡大。政府の自粛要請も出される中、桜の名所を擁する津市でも恒例イベントが中止になるなど影響が広がっている。いつ終息するか先行きが見えない不安が自粛ムードを生み、4月の野外イベントに関しても「開催して良いのか」と主催者に問い合わせがあったり、5月・6月のイベントでも中止が頭をよぎる主催者も少なくない。
当然、経済に対し悪影響も出ている。ただ、中小企業からの経営相談を受けている津商工会議所によると、新型コロナで地域経済全体が悪くなっているのでは無く、悪影響は〝まだら模様〟のようだ。
例えば飲食業界。市内のある飲食店では、毎年3月は企業や官公庁の送別会や学校の謝恩会などの宴会が多いこともあり、忘年会シーズンの12月と並ぶ稼ぎ時だった。それらが軒並みキャンセルとなり、4月も歓迎会などの予約も全く入っていない状況という。
その一方、ランチが好調だったり、自粛ムードに疲れた人々の来店やテイクアウトなど別の需要が生まれることも。郊外店では普段と変わらない売上の店もある。市内のあるカフェ店主も「理由はわからないが、いつもより忙しい」と話す。
小売業界でも外出を控える人が増え、婦人服などの売り上げが落ちる一方、学校が休校の関係で食品小売りの売り上げは好調。建設業界では4月からの新生活に合わせて新築住宅の引き渡しが増える時期で、中国製のキッチンなどの水回り製品や、建材などの生産の遅れから工事完了できないケースも発生しているが、材料を海外に依存しない業種は余り影響が出ていないという。
しかしながら、政府も非常事態と捉え、日本政策金融公庫などによる無利子・無担保融資など企業への支援策を打ち出す中、津市が窓口となっている経営が不安定な中小企業を対象とした資金繰り支援制度「セーフティネット保証」を利用した事業者も3月中で20件を超えた。2月以前は月に数件の利用だったのが、現在はリーマンショック時と同水準。危機的な企業が増えていると見て間違いない。長引けば更なる悪影響も確実だろう。
不安が不安を呼ぶ日々が続くが、衛生面での感染拡大防止と経済活動の両立こそが最重要課題。終息に備え市民一人ひとりが「正しく恐れ、正しく行動する」意識を持つことこそが肝要である。