「ボートレース津」は近年、ネット・電話投票の増益を図り行ったHPリニューアルや、外向発売所・場外舟券売り場開設などの施策が奏功し、売上げが好調。平成28年度には12年ぶりに一般会計への繰り出しが復活し、来年度は繰り出しを今年度までの1億円から20億円へと大幅に増額するうえ、借入を4年前倒しで完済できる見込み。今後も、魅力向上による増益と、市財政への貢献を目指していく。

 

 

売上げ増の起爆剤となった外向発売所「津インクル」

売上げ増の起爆剤となった外向発売所「津インクル」

競艇などの公営競技はかつてレジャーの多様化などにより全国的に不調で、ボートレース津の売上げも平成2年度の503億円をピークに減り続け、22年度には186億円まで落ち込んだ。また平成9年度~同14年度に行われたスタンド改修の総工費171億円のうち78億円は借入で、売り上げ減少と借入の償還が重なって16年度から市の一般会計への繰り出しが止まり、経営改善が重要課題となっていた。
そこで市は、平成23年度、ボートレース津隣接地に外向発売所「津インクル」をオープン。これが売上げ増加の起爆剤となった。同発売所の売上げ額は28年度からスタンド棟を大きく上回り、30年度は73億円だった。
続いて27年度、名張市に「ミニボートピア名張」、28年度には岐阜県養老町に「ボートレースチケットショップ養老」を開設。場外舟券売り場がなかった地域に設置しニーズに応えたこともあり、2施設合わせた売り上げは増加傾向で、30年度には45億円に。
また電話投票の増益を図るため、平成27年にホームページをリニューアルしたところ、28年度の電話投票の売上げが22年度比で247%の129億円と大幅に増加。スマホの普及が追い風となり29年度には142億円、30年度には187億円に上り、これが全体売上げ増の最大の要因となった。
29年度には、適切な経営判断に繋げるため、会計処理方法を資産の状況を把握できる「発生主義会計」に変更。基本方針として①市財政への貢献②ボートレースファンの満足度向上③経営基盤の強化を掲げた。
このように増益を図る施策と、職員数を約半分に減らすなど経費削減にも注力。
その結果、売上げは23年度の212億円から増加傾向で、30年度には370億円になり、来年度は予算ベースで436億円まで回復。
そのため、28年度には12年ぶりに繰り出しが復活し、今年度まで毎年1億円を繰り出してきた。
そして来年度は、例年1本開催するGⅠ以上のグレードレースを3本開催するため、収益増が見込まれる。また、老朽化している競技棟・選手管理棟の建て替えに着工予定で、この工事で当面必要な設備更新が完了することもあり、一般会計へ20憶円も繰り出しできる見込み。
さらに、借入を4年前倒しで完済する予定。
好調の一方で課題もあり、全国の競艇場と同様、入場者数が減っているが、来場する既存ファンの高齢化が進んでいて大幅に増やすのは難しい。そのため既存顧客の満足度向上や、SNSでの魅力発信で新規ファン獲得にも取り組む。
ボートレース津は「再来年度以降の繰り出しの額は未定だが、借入完済後は経営を無借金で好調に続けていけるよう取り組みながら、できる限り繰り出しをしていく」としている。
なお新型コロナウィルス感染拡大防止のため、15日㈰までレースを無観客で行い、本場・津インクルを閉館している。