検索キーワード
2020年3月
大手企業の下請けに頼ることなく、独自商品を開発し続けることで中小企業の新たな活路を見出してきた津市庄田町の㈱北村製作所=北村清司社長=がこのほど刈払機用地ズリ安定板(草刈り機の刈刃に付ける安定板)『ジズライザー』=特許取得済=シリーズの新モデル「RAKU・AIR125MA」を新開発し発売した。
ジズライザーは、草刈り機の先端にある刈刃の押さえとして装着するもの。刈刃と共に高速で回転することで発生するジャイロ効果(姿勢を安定しようとする現象)により、安定した操作性を実現。女性や高齢者でも使いやすく、作業性抜群の〝地ズリ刈り〟で草刈りの疲労を軽減するとの好評を得て大ヒット。以来、様々な派生商品を「ジズライザーシリーズ」として開発し、市場のニーズに応えてきた。
「RAKU・AIR125MA」は金属製の刈刃の代わりに、ナイロンコードを使用。鞭のようにコードが回転することで草を刈っていく。金属刈刃に比べて安全で、軽量なため作業者の肉体的な負担も少ないのが特徴。
従来、カシメ付きのコードを1本、1本、ジズライザー本体に差し込んで使用していたが、今回の新製品はコードが巻いてあるロングコード仕様のカートリッジを本体にセットするだけで簡単装着を可能にした。
従来のカシメ付きナイロンコードと比べ80%も寿命が長く、長時間での使用が可能。コードの長さ調節ができるので、使いたいシーンに合わせて自分好みにカスタマイズできるなど使い勝手が大幅に向上した。税込3250円。カートリッジは税込460円でホームセンター等で発売中。
北村社長は「社会に求められる製品を開発するという使命感を感じながら、今年で創業50年・命知20年を迎えた。今後も10年先、50年先を見据えて製品を開発していきたい」と話す。
問い合わせは同社☎津256・5511へ。
2020年3月12日 AM 4:55
津商工会議所は3月2日、経済産業省から健康経営優良法人2020(中小規模法人部門)の認定を受けた。認定期間は令和2年3月2日~令和3年3月末。
同省は、次世代ヘルスケア産業協議会健康投資ワーキンググループ(日本健康会議健康経営500社ワーキンググループ及び中小1万社健康宣言ワーキンググループも合同開催)において、健康経営に取り組む優良な法人を「見える化」すべく、「健康経営優良法人認定制度」の設計を行っている。
同日、日本健康会議により、「健康経営優良法人2020」として、大規模法人部門に1481法人(うち500法人を「ホワイト500」とする)、同会議所を含む中小規模法人部門に4723法人を認定した。
同会議所は、健康経営の推進による人材の定着化、企業価値の向上などにかかる支援を行う立場にある同会議所が自ら健康経営に取り組み、地域の中小企業への健康経営の普及促進を進めることを目的として健康経営優良認定の取得に取り組んできたのが認められた。同会議所では「今後も健康経営優良法人として、さらなる健康経営に取り組んでまいります」と話している。
2020年3月12日 AM 4:55
発達障害のリアルを当事者・専門家らが語る対談連載。発達障害は、生まれつき脳の発達が通常と違うために幼いうちから現れる様々な症状。出生率は数十人に一人と言われる。発達障害者の仕事や自立を、県内在住の当事者、浜野千聡さん(28)、Aさん(仮名・29歳男性)と、千聡さんの母・芳美さん(60)が語った(敬称略。聞き手は本紙記者・小林真里子)。
──お二人の仕事について教えてください。
千聡 喫茶店「ぽっカフェ」でレジ打ちをしたり、味ご飯を作ったり、そばをゆでてトッピングしたりしています。
A 大学の紹介で色々な仕事を体験させてもらい、その中で今の商品のパッケージ・配達の仕事が一番自分に合ったので就職しました。
芳美 娘は元々小学5年生の2分の1成人式で、「将来マクドナルド屋さんになりたい」「お店でレジがしたい」と書いていたんです。高等部の現場実習で色々な職業体験をさせてもらい余計にそう思ったのかなと。でも体験は体験にすぎず、体験先への就職には結びつかなかったので、それがちょっときつかったですけど。
最初に働いたB型事業所では車の部品のかしめ加工などを担当しましたが、初めの10カ月くらいは仕事をせず社内の保健室のような部屋でずっと寝ていました。当初は「お母さんは来ないで下さい」と言われてましたが、ある日、指導員の方に面談に呼ばれ「どうしたらこの子は働くようになるんですか」と聞かれました。その時、面談している部屋に娘が来て、たまたま商品のタオルが運ばれてきたので、それを畳みながら話すことに。私が指導員の方に「ところでこのタオルを1枚畳むといくらになるんですか?」と聞き「2円です」と教えてもらい、娘に「30枚くらい畳んだからいくら?」と聞いたら、「60円」と。娘はそのやりとりで働く意味、仕事と給料の繋がりを理解し、そこから頑張って働くようになりました。
さらに、小さい頃から「~ができたら丸」とほめていたので、事業所の人に頼み、娘が時間通りに出勤するなどしたら丸を記入する用紙を作って毎日丸をつけてもらったんです。そしたら、益々やる気を出しました。ただ部品加工は受注制の仕事なので受注がない時は全く違う作業に回され、娘は障害の特性によりその作業のにおいや音も苦手なので仕事に行きたくなくなってしまい、辞めたんです。
──お二人は現在、実家暮らしですが、実家以外で生活されたことはありますか?
A 前はグループホーム(以下GH)にいましたが、プライバシーがあまりなく、皆で一緒にご飯を食べたりする生活が、自分には合いませんでした。皆で生活することが苦じゃない人には良いと思うんですが、自分みたいに個人でご飯を食べたいという人には向かないと思います。
芳美 娘も一時GHで暮らしていましたが、皆と一緒に起きたりご飯を食べるのが苦痛だったんじゃないかな。GHを出た少し後から1年半くらいの間、「ピアサポートみえ」が津市内のマンションで運営している、ヘルパーにサポートしてもらいながら一人暮らしする生活が体験できる部屋を何度か利用し、「グループホームよりこっちのほうが良い」と言いました。そして今、亀山市内の買い物にも便利なアパートが空くのを2年以上待っていて、空いたらヘルパーに付いてもらい一人暮らしをしようと話しています。
──一人暮らしは、どういうところが楽しいと思いますか?
千聡 一人で好きな場所に行けるのが楽しいです。やっぱり、どこかに行きたいときに一人で(自由に)出かけられなかったら困ります。
──自立や一人暮らしには自炊も重要ですが、普段料理はしますか?
A 母からちょこちょこ習っています。
千聡 お母さんがいない時は一人で野菜炒めを作ったりしています。でも、いる時はお母さん任せ。一人暮らしするために、お母さんに料理を教えてもらいたいです。
──千聡さんの自立や将来について親としてのお考えを教えて下さい。
芳美 娘が最初に働いた事業所は良い条件が揃っていたのでこれでもう安心と思いましたが、やはり本人に合わない部分もありました。また、GHに入れたら良いと思っていたけど実際入れてみると違うんだなって。子供の性格や好みの生活スタイルがあるので、親の思いを押し付けても上手くいかない。だから、自分達が元気なうちに行政の自立支援事業などの情報を集めて色々なことを試し、娘が失敗したらいくらでもフォローをして、将来に繋げたいです。(次号に続く)
2020年3月12日 AM 4:55