2020年4月

ようやく見えた歩道(津市白山町三ケ野)

ようやく見えた歩道(津市白山町三ケ野)

地域愛を感じずにはいられない「中村町案内マップ」

地域愛を感じずにはいられない「中村町案内マップ」

三ケ野の集落の入り口にある道標

三ケ野の集落の入り口にある道標

入田古墳に眠る貴人に別れをつげた私は国道に戻る。少し歩くと近くに面白そうなものを発見。駆け寄ってみると「中村町案内マップ」と銘打った地図に、町内の名所が地図に写真付きで掲載されている。この辺りは特に観光地というわけではないので、これほど狭い範囲のマップは珍しい。これがどういう経緯で建てられたかは知らないが、地域の財産を多くの人に紹介しようという気概を感じる。それは町外から訪れる人はもちろん、地域に住む人たちにも向けられているのかもしれない。地域振興や観光戦略を成功させる原動力は、一人でも多くの地域住民が胸を張って地域の自慢ができるかだ。「私たちの地域は凄い」と本気で思える人の数だけ地域は豊かになっていく。これを建てた人たちもそんなことを願ったのかもしれない。
再び国道を進み、三重県営ライフル射撃場を越えると間もなく津市白山町三ケ野。相変わらず、歩道がほとんど無い。前の休憩場所から、それほど歩いていないが、車をやり過ごしていると神経が削られるので、思った以上に疲れを感じている。更に左足裏の痛みも加速。そこで国道沿いの農道に入り、農機小屋の前に座る。靴を脱いで水ぶくれを確認すると直径3㎝くらいまで膨らんでいる。どうりで痛いはずだ。時刻は11時半。少し痛みが落ち着くまで、10分ほど休むことに。
スマートフォンを取り出し、お気に入りの曲をかける。タバコを嗜まない私にとっての〝一服〟はコレ。優しい陽光が包むのどかな田園風景に、古内東子のしっとりとした歌声が宵闇の帳を下ろす。しばし、音楽に身を委ね、心を鎮める。
白山町三ケ野の集落の入り口付近には200年ほど前に建てられた道標が残っており、集落に入る道側の面には「右 みつ可乃道」、古くは七栗道と呼ばれた国道165号側の面には「左 はせ奈ら道」と刻まれている。スマートフォンを開けば自分がどこにいるか正確な位置が分かる現代と違い、正確な地図も無かった時代に、これほど心強い存在はなかっただろう。道標の周りには花苗が植えられるなど綺麗に手入れされており、先程のマップと同じく地域の愛と矜持を感じる。
とても個人的な話で申し訳ないが、この三ケ野にくるたびに、当社と同じビルに入居しているご縁で親しくして頂いているE社の才媛・Sさんの故郷であることを思い出さずにはいられない。山紫水明。集落を彩る豊かな自然が、誰からも好かれる天真爛漫(細かいことは気にしない豪快)な人柄を育んだのだろう。晴天を見上げながら、そんなとりとめもないことを考えていた。目的地は未だ彼方である。(本紙報道部長・麻生純矢)

コロナウイルスの影響で牛乳が余っていると聞いてから、少し多めに牛乳を買うようにしている。でも、そのまま飲んだりクリーム煮にしたりで、代わり映えのない使い方ばかり。
そこで頼ったのはネット。牛乳大量消費のレシピがたくさん出ている。その中から私が一大決心をして作ってみたのは、蘇(そ)。古代のチーズと言われる物である。奈良時代から作られていた贅沢な食べ物。貴族しか口にできなかったらしい。
どんな難しい作り方かと思ったら、ただ牛乳を煮詰めるだけだった。最初は強火で、その後弱火にしてコトコト。私はドラマを見ながら時々かき混ぜに行った。中火でも可能らしいが、鍋から離れると焦げつきそうだ。
一時間経っても牛乳の量はそれほど減らず、このまま飲んでしまおうかとも思った。それでも続けて二時間が過ぎたら、少しトロミが出てきた。それからは中火で、鍋底をこそげ取るようにかき混ぜながら牛乳が固まるのを待った。クッキー生地ぐらいの固さで終了し、ラップに包んだ。
冷蔵庫で冷やしてから食べてみた。懐かしのミルキーみたいな香り、牛乳だけとは思えない甘さ。そこにはちみつをかけて藤原道長風に、オリーブオイルと塩でイタリア風に。古代のチーズは濃厚極まりなく、疫病さえも押し返せそうに思えた。      (舞)

個人事業主や定年退職後の前期高齢者(65歳~74歳)などが主に加入する『国民健康保険(国保)』 。都道府県単位の運営に移って財政基盤の強化がはかられたが、加入者の高齢化と減少、一人当たりの医療費の増大など構造的な問題が重い保険料負担となってのしかかっている。津市は今年度の料率アップを見送ったが、依然として予断の許さない状況。地方からも制度の限界が浮き彫りとなっている。

 

国民健康保険は、ひと昔前までは個人事業主の加入が多かったが、社会情勢の変化によって、職を持たない人や定年退職をした年金生活の前期高齢者65~74歳など、低所得者が主となっている。高齢者は75歳になると後期高齢者医療制度に移行することもあり、加入者は年々減少している一方で、一人当たりの医療費は年々、増加しており、苦しい状況が続いている。市町村単位で運営がなされていたが、厳しい状況だったため、国が財政基盤の強化を目的に財政支援を行うと共に、2年前に都道府県単位での運営に移行。保険料の算定や窓口業務、収納などの業務は、これまで通り市町村が実務的な運営を担っている。
津市では平成24年度に4万1701世帯6万9032人の加入者が居たのが、平成31年度3万3600世帯5万5000人とわずかな期間で大幅に減少している。本来ならば加入者が減れば、保険から医療機関に支払われる医療費は減少をするのだが、加入者の高齢化だけでなく、新薬の登場などの医療の進歩による高額化などによって年々増加。医療費の支出は30年度約220億円(加入者の自己負担分を含む)で一人当たりに換算すると39万9856円まで上昇。平成23年度が一人当たりが約31万4000円と考えると、短期間で相当上昇していることわかるだろう。
医療費の支出増大もあり、財政的にも厳しい状況が続いているため、津市では平成28年度には料率を21%と大幅な値上げを行うことで基金を積み上げ、運営の安定化を図っている。令和2年度の保険料は、平成30年度時点で10億6000万円ほどある基金を取り崩すことで料率を維持できることとなった。
国保の保険料は所得によって課税額が決まる住民税などと違い、所得に関係なく一人当たり一律の金額が課せられる均等割があるので所得が少ない家庭であればあるほど、保険料の負担が重く感じてしまう。加入者は低所得者が中心なので、これ以上の負担増は出来る限り避けるべきだ。
健康保険組合や協会けんぽに加入するサラリーマンは国保とは無縁だが、定年退職後の65歳以上になると加入するケースが多い。今後、新型コロナウィルスの影響で経済が悪化し、失業した場合なども加入する可能性があり、誰にとっても無縁とは言えない存在となっている。
国民皆保険制度を支えるセーフティネットである国保だが、今後も厳しい運営が続くのは間違いなく、重い保険料は保険加入者だけの相互扶助とは言い難いレベルの負担にもなっている。抜本的な制度改革が必要なことは地方の現状からも浮き彫りになっている。

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