体力維持、体力維持と唱えながら、毎日、夜の散歩に出かけている。冬からずっとの閉じこもり生活で、筋肉が減って脂肪に置き換わってしまった。夜の散歩で、せめて現状維持を図りたい。
幸いに季節が良い。寒すぎず、暑すぎず、動いて汗をかくほどでもない。街の灯りは、世の中を映して明るくはないが、星が見える。春の宵、西の空に明るく輝いている星は金星だ。
毎晩歩いていると、月の満ち欠けも楽しみだ。新月から細い鎌のような月、三日月、上弦の月、満月となる。そして十六夜、立待月。それ以降は散歩を終わってから月が出るから見られない。
細い月と金星が近くにあるのを見たときはうれしかった。美しい写真をとカメラをかざしたが、私の腕では無理。ビルの窓灯りの上に、二つの点が撮れただけだった。
あまりに月が美しいときには、誰かに知らせたくなる。「月がきれいよ。」と友達にメールをした。中学の同級生の彼女とは月友達。もう十数年も会っていないが、鳥の好きな彼女と花の好きな私が、「月がきれいよ。」でつながっている。
遠くにいても近くにいても、よその国の人も同じ月を見ている。この困難の時代に、辛い思いで月を見上げている人もいるだろう。月はずっとそこにある。皆が穏やかな気持ちで月を見上げる日々も、いつかきっと来る。     (舞)