芸術などの分野で活躍する市民でつくる「NPO法人森の劇場プロジェクト」=長野多恵代表=は2016年から、白山総合文化センターしらさぎホールを活用する津市委託の文化創造事業を、劇場法に則り実施。芸術を通じて教育・福祉・地域コミュニティ回復に貢献してきた。20年~23年をプロジェクト第2期とし、さらなる発展を目指す。新型コロナの影響で今年度の同事業は中止だが、法人独自の企画を模索中。

 

津市委託の文化創造事業が行われている「白山総合文化センター」

津市委託の文化創造事業が行われている「白山総合文化センター」

同プロジェクトは、劇場法(2012年施行)を受け14年に行われた、津市民文化祭特別研究事業での同ホール活用方法の検討・提言を契機に発足。芸術や地域活性化など様々な分野で活動する市民で構成されている。
そして16年から、白山総合文化センターしらさぎホール=白山町二本木=を活用する津市委託の文化創造事業を実施。官民連携で教育・福祉・コミュニティ回復の機能を持つ社会機関としての劇場づくりを行ってきた。
そのうち恒例の「子ども里山そうぞう学校」では、児童が地域住民の協力のもと自然学習などを行い、地域の文化や生活芸術に触れたり、演劇の舞台出演を経験。実体験や出会いを通じて、他者と向き合う・自分の価値基準を持つなどの人間力を身につけている。
また同学校を数年継続するうちに児童の保護者同士の交流が深まって、会話の中で子供の今後の成長に不安を抱える母親が多いことが分かり、先輩の母親が、新入生の母親の子育ての話を聞くカフェが自然に誕生した。
今までに同学校に関わった子供・保護者は200人に上り、同学校卒業後、プロジェクトへの協力を希望する子も。劇場づくりに関わるコミュニティが広がりつつある。
そこでプロジェクトはより多くの人が活躍できる枠組みを作るため、先月NPO法人化。20年~23年を第2期と考え、市民と行政が協働で文化事業の実用的な評価基準を作るなどの法的整備や、プロジェクトの企画においてコーディネーターの役割を果たせるリーダーの育成を目指している。
津市が新型コロナ感染防止のため今年度の同事業中止を決めたが、長野さんは同学校に参加予定だった児童らと、今年度、法人独自に行う企画を模索中。「人間にとって命の次に大切なのが文化・芸術であり、それらを表現することがコロナ収束の兆しの一つになると思う」と力強く話す。