ある日、里帰り出産でわが家に帰っていた娘が深夜急に産気づいた。
私は民間で患者搬送業を行っているため、陣痛時のタクシー移動や深夜の送迎依頼も時々あり、夜間などの至急の走行には慣れていた。
しかし、新型コロナウィルスの影響で国内は緊張状態。このことも考慮に入れて、事前に来ていた娘婿が病院へ送った。
「無事産まれてくれれば良いが」と思いつつ、同時に次のようなことが脳裏をよぎった。
「時代の背景は、刻々と変わる。昨年まで新型ウイルスとの闘いに国民が悩まされる時が来ようとは、誰も思っていなかった。今はウィルスに対抗できる薬が開発され、早く行きわたって事態が終息し、経済活動が本格的に再開され、以前の活況に戻ってほしいと願う。国民が先の大戦後の荒廃から立ちあがり、今の日本の発展を成し遂げたように、これから産まれてくる幼子らが大きくなった時、皆が2020年という大変な時代をオール三重で乗り切ろうとしていたことを語り継ぎ、それを生かし、住み良い土地にしなければならない」と。
娘は無事出産した。孫は、これからもいろんな〝波〟を経験しなければならないのだろうが、少子化の中で貴重な命を授かったことに感謝し、元気に成長して欲しい。
(民間救急 はあと福祉タクシー代表)