新型コロナ感染防止策が不可欠

 

今年も大雨や台風による被害が危惧される季節になってきたが、新型コロナウイルスの感染拡大防止策を万全にした避難所運営が求められている。津市でも避難所にマスクや消毒液などの配備を進めたり、三密に配慮した運用を行うなどの対策を進める。最も恐ろしいのが市民が感染を恐れる余り、避難所に行かずに被災すること。市民一人ひとりがどのような行動が必要かを改めて考える必要がある。

 

政府の緊急事態宣言が解除されて以降、新型コロナウイルス感染拡大防止策を踏まえた新しい生活様式が取り入れられており、マスクの着用や検温など、「三密」を避けるソーシャルディタンスの確保などが一般化している。

政府もこれに基づく、災害時の避難所運営の必要性を事務連絡。2mのソーシャルディスタンスを確保すると一カ所あたりの収容人数が大きく下がるため、出来る限り多くの避難所を開設することや、避難所の過密化を防ぐために安全な場所にある親戚や友人宅への避難も検討するよう勧めたり、避難者の健康状態の確認と体調不良者への対応といった内容で、全国の自治体は、それを踏まえた対策や情報発信を行ったり、新たなマニュアルの作成などに取り組んでいる。
津市には172カ所の指定避難所があり、学校や公民館などが主。毎年、夏には台風や大雨による被害が発生しやすくなることもあり、今日まで開催中の津市議会でも多くの市議から、当局に対して避難所運営に関する質問があった。
津市が実施する対策としては、各避難所にマスク・アルコール消毒液や、段ボールベッド・テントなどの設置を行う。また、避難所を運営を行う職員向けマニュアルも先述した国の事務連絡に合わせたものを作成し、それに基づく運営を行う。
換気、マスク着用、ソーシャルディタンスの確保など三密を避ける対応を基本に、受付時の体温測定や消毒を実施し、体調不良者が出た場合は隔離も行う。
収容人数が下がった分、体育館で収容できない場合は教室などを活用したり、周辺の避難所を開設する。
また、必要によっては指定避難所以外の市や県の公共施設などを活用したり、三重県と協定を結ぶ三重県旅館ホテル生活衛生同業組合に加入している宿泊施設の利用なども検討していく。
地域の自主防災組織が避難所ごとに定める避難所開設マニュアル作成の手引きも更新を行うべく準備を進めている。
最も危惧すべきなのは、市民が新型コロナ感染を恐れる余り避難せずに被災してしまうこと。行政が安心で安全な避難所の体制を整えることと同じくらい、市民一人ひとりの心構えも重要となる。洪水など各種ハザードマップを見て、自宅がどのようなリスクに見舞われ、どこへ避難しなければならないかを改めて認識したり、災害の規模が大きい場合は利用する可能性のある周囲の避難場所の確認、避難所の代わりに安全な場所にある親戚や友人の家に避難する場合はその順路なども決めておくことが必要だ。
非常用持ち出し袋にマスクや消毒液を新たに加えることなど手軽にできる対策も感染リスクを下げるのに有効。
いつどんな災害が起こるかは、誰にも予想できない。新型コロナ対策との両立が課題となるが、台風や集中豪雨による急な川の増水や土砂災害が発生の恐れによる避難勧告や、より多くの人々が被災する可能性が高い南海トラフ地震などで避難が必要になった場合、まずは最寄りの避難所を目指すという考え方自体は変わらない。
今後、行政によるより万全な避難所運営を行う体制づくりをするため、シミュレーションや収容人数の確認なども必要となろう。そして、なによりも市民の冷静で的確な判断と対応こそが重要といえる。