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雨の後の苔が美しい。鮮やかな緑色がスポンジのように水を含んで盛り上がっている。あまりに美しいので、海苔の佃煮の空きびんに入れて、室内に持ち込むことにした。
挿し木用に買ってあった鹿沼土をびんの底に入れて、その上にこんもりとした苔をふた山置いた。近頃流行りの苔テラリウムのつもり。うまく育つかどうかわからないけれど、湿り気と光があれば苔は枯れないと思う。
苔は一般の植物のように根から水を吸い上げるのではなく、体の表面全体から水を吸収している。毎日霧吹きでシュッシュッと水をかけてやるつもりだ。
庭の片隅から適当に持ってきたが、びんの中には二種類の苔があった。スギゴケらしきものと、ヒノキの葉っぱのような形のもの。名前は知らない。どちらも小さくて柔らかそうな苔であることが気に入った。
きれいな花の咲く草はそれぞれ個性的だが、花の咲かない羊歯類や苔類もそれぞれに葉の形が面白い。スギゴケは杉の芽生えのような形。虫眼鏡でびんを上からのぞき込むと、北の方の森を飛行機から見下ろした景色に似ている。
梅雨が明ければ苔には過酷な乾燥の季節となる。それでも庭の隅で生きながらえて、いつか胞子体を作って仲間を増やしていくだろう。小さな命の活動を、この海苔のびんの中で観察できればうれしいと思う。 (舞)
2020年7月23日 AM 4:55
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