津市久居東鷹跡町にある久居ふるさと文学館で開かれている勉強会「久居ふるさと郷土会」=世話人・今井博さん=が、今月3日、久居地域の家の屋根に設置されている「鍾馗像」を紹介する冊子「久居の瓦鍾馗」を発行した。
同会は、平成30年度~令和元年度に同館で実施された久居の歴史を学ぶ講座のメンバーのうち、さらに勉強したいという8名が参加し、今年1月から毎月1回開催。新型コロナにより一時休止して今月9日に再開した。
一方、「鍾馗」は中国・唐の時代に実在した人物と伝えられる。そして伝説によると、科挙(官吏登用試験)に臨むがあまりにいかつい容貌が災いして不合格となり、それを恥じて自ら命を絶った。それを耳にした唐の初代皇帝・高祖が手厚く葬ってくれたことに恩義を感じ、のちに玄宗皇帝が高熱で寝込んでいた際に夢に現れ、皇帝を悩ませていた小鬼を退治。玄宗皇帝は夢で見た鍾馗の姿を絵師に描かせ、邪気を祓う力があるものとして広めさせた。
以降、鍾馗は魔除け・疫病除けの霊力を持つものとして信仰され、日本にも伝わり、現在も関西地方など各地に鍾馗を祀る風習がある。最近は、コロナ感染拡大の終息を願い祀られることも。
同会では、屋根に置かれている鍾馗像を、瓦で作られていることから「瓦鍾馗」と呼び、久居地域で今年5月までに確認した21体の写真や情報を冊子にまとめた。
9日の勉強会では、講師を務める今井さんが、瓦鍾馗の特徴を「目がギョロっとしている、髭がすごい、剣を持っている像が多い」と説明したほか、「久居のような狭い地域に、これだけの数の鍾馗像があるのは珍しい」と話した。冊子はA4版、16ページ。税込200円で販売予定。
問い合わせは今井さん☎090・9934・7423へ。