2020年9月

津市大門周辺でカラスが増え、特に雨が少ない時期になると、糞害で道路が真っ白になり、悪臭を放つなど地域住民や商店主たちを困らせている。ただ、カラスの餌となる生ゴミは、地域の人口や飲食店の数と共に減少しているだけでなく、管理もされるようになったため、増加の直接的な原因にはなっていないという推測も…。行政に対して、何らかの対策を求める声が地元から上がっている。

 

生ゴミを漁るカラス

生ゴミを漁るカラス

カラスの糞で汚れた道路 (津市大門で8月撮影)

カラスの糞で汚れた道路
(津市大門で8月撮影)

津観音の横の観音公園が、大門に集まるカラスたちのねぐら。近年少しずつ数が増え続けており、春から夏にかけての繁殖期になると、木の上に巣がかかる。その時期は特に気が立っているため、時には身体の小さい女性や子供に飛び掛かることもあるという。

木や電線の上で羽根を休めるカラスたちは、その上から大量の糞をする。特に雨の少なかった今年8月には道路が真っ白に染まり悪臭も放ち、景観の悪化と衛生面に懸念を抱く地域住民や商店主たちを困らせた。最近、雨が続いて洗い流されたものの、いずれ同じ状態に戻る。
しかし、なぜ大門地区にカラスが増え続けているか、原因は特定できていない。カラスが増える一般的な原因として上げられるのが、餌となる生ゴミ。しかし、津市や地域住民に確認しても、大門地区はひと昔前と比べると人口や飲食店の減少に伴い、生ゴミの量も大幅に減っている。ゴミの管理も、繁華街で不特定多数の人が出入りする地域の性質上、集積場を利用できる自治会に所属している住民以外に捨てられないよう、カギ付きの収集庫を置いている自治会もあるほど。収集庫が無い場所でも、ネットをかぶせているため、以前と比べると集積場の生ゴミをカラスに荒らされること自体がそう多くない。つまり、カラスは大門をねぐらにしているだけで、地域住民がゴミの管理を徹底しても根本解決にならない可能性があるということだ。津観音住職の岩鶴密伝さんも、カラスに悩まされ続けている一人。多くの人が集まる鬼押さえ節分会の前などに、高圧洗浄機で道路の糞を清掃にすることもあるが、個人での取り組みに限界を感じている。「中心市街地は津市の顔。糞で汚れているのは良くないので、何か行政による対策が必要だと思う」と語る。
しかし、いざ対策するにしてもカラスは、鳥獣保護管理法で守られている。許可を得ずに駆除や捕獲はできない。津市でも、カラスが農林水産物への被害を及ぼす場合は獣害としても扱うが、今回のようなケースは対象外。電力会社が送電設備につくった巣を撤去したり、人を襲ったカラスを捕獲・駆除する場合などに許可を出すことはあるが、現状は市として対策を行ってはいない。
もちろん、カラスに罪はないが、景観と衛生面の問題を考えると、なんらかの対策が必要と訴える声もうなずける。だが、知能が高いカラスに中途半端な対策は逆効果になり兼ねない。他所では、鷹匠による追い払いといった先進事例もある。状況をしっかりと確認し、どうするべきか考える必要があろう。

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問い合わせは☎059・228・1311(代)営業推進部へ。

 

10月11日の射山神社での奉納めざして練習に励む住民ら(榊原第2区集会所にて)

10月11日の射山神社での奉納めざして練習に励む住民ら(榊原第2区集会所にて)

三重県津市榊原町の射山神社で10月11日に開かれる秋祭りで榊原第2区の「かんこ踊り」が復活、新型コロナウイルス平癒を願い、31年ぶりに奉納される。過疎化と少子高齢化が著しい同地区の住民が一丸となって復活させた。
榊原温泉で知られる榊原町の伝統芸能として知られる「かんこ踊り」は江戸時代に発祥。地域の繁栄と疫病封じを願い、町内5自治区それぞれに伝わる歌に合わせ鳥の羽根を頭に付け、鞨鼓と言われる太鼓を鳴らしながら踊る。5区全てが津市の指定無形民俗文化財。
毎年、秋祭りに全地区が揃う「五郷入り」を奉納していたが、過疎化と少子高齢化で踊り手が減少し、「五郷入り」は平成元年を最後に一旦、途絶えた。その後、平成6年の「まつり博・みえ」で復活・披露して以降は、第1区の保存会が3年に1度のペースで踊っていたほか、第2区のかんこ踊りは平成14年頃まで地域の夏祭りで踊るのみで、その後は休止状態になっていた。
そこで、「五郷入り」を復活させ榊原町を盛り上げようと、地域の住民が一丸となって平成28年度の国の地方創生加速化交付金を活用し、約1千万円かけて太鼓や装束を新調。同29年は1区、一昨年は3区、昨年は5区が奉納した。
榊原町第2区かんこ踊り保存会の伊藤博和会長によると、「経験者の話と古いビデオや写真を参考に4月から土日に練習を重ねてきたが、新型コロナウイルスの影響で6月初旬に中断、同月中旬から再開し準備してきた」という。
奉納踊りには小学生から大人まで45名が参加。伝統的に男性のみだったが、今回から始めて女性も5名加わる。
12日の夜に同地区の集会所で行われた練習では太鼓のほか、横笛、ほら貝の奏者と、合いの手を入れる「地謡(じうたい)」、歌い手の「唄上」で編成。しゃご馬に続きかんこ役が踊り修練を重ねていた。
当日は「疫病神をおさえつつ─」という歌詞がある「天王踊」を奉納し、新型コロナウイルスの早期終息を祈願する。来年には4区の奉納を予定し、令和4年に5区全てが復活した後には、同神社で平成元年以来の「五郷入り」が実現する。また、同年にリニューアルされる「湯の瀬」でも披露される予定。
伊藤会長は「昔からかんこ踊りによって地域の絆を高めていたという伝統がある。この伝統を後世に伝承する意味でも復活は重要。五郷入りを目指し頑張ります」と期待した。

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