8月3日、東京駅に開業したJR東日本最大級のエキナカ商業施設「グランスタ東京」に、かつて東京駅や国会議事堂の竣工パーティを請け負うなどの歴史を持つレストラン東洋軒(本店・津市丸之内)が「東洋軒 東京ステーション」をオープンした。創業131年の伝統と風格に加え、老舗の味を今の時代に合わせて表現した新しいメニューの開発など、常に進化し続ける同店の姿勢が同商業施設のコンセプト「エキナカで美食を探求」に合致したことで実現した。

 

 

東京駅に8月3日にオープンした「東洋軒 東京ステーション」

東京駅に8月3日にオープンした「東洋軒 東京ステーション」

JR東日本グループの㈱鉄道会館が開業した「グランスタ東京」は、東京駅北通路周辺整備によって新たに生み出されたスペースに66店舗が出店し、既存の「グランスタ丸の内」の87店舗と合わせて153店舗・約1万1300㎡に及ぶJR東日本最大級のエキナカ商業施設。
特に飲食関連では、「エキナカで美食の探求」をテーマに老舗・名店を34店舗揃えた。その中でも「東洋軒・東京ステーション」は、東京駅丸の内側と八重洲側の改札から入った駅構内ど真ん中に位置する事からも、同店に対する㈱鉄道会館の大いなる期待が分かる。
「東洋軒」は、創業 明治22年(1889年)。初代料理長として北垣栄七郎を招き、後に天皇の料理番となった秋山徳蔵らを筆頭に、優秀な料理長を次々と輩出し、宮内省御用達の店として明治期に名声を残す。また大正3年(1914)に開業した東京駅や、昭和11年(1936年)の国会議事堂の竣工式のパーティーを請け負うなど華やかな舞台を彩ってきた。
津の東洋軒は、稀代の風流人として知られる川喜田半泥子が三田の東洋軒の味に惚れ込み、熱心な説得の上、昭和3年(1928年)に東京東洋軒出張所として三重県下初のビルヂングであった百五銀行本館四階にオープン。
津の東洋軒 初代 猪俣重勝氏から2代目 重信氏、3代目で現社長の憲一氏が、92年間(東京・三田の創業からは131年間)にわたり、味と伝統を守り続けてきた。
一方で、伝統に根差しながらも、時代の変化に合わせたメニューも多数開発。現状に甘んじる事なく、常に進化し続ける経営姿勢も高く評価され、2014年には、東京・元赤坂で「西洋御料理 東洋軒」として東京での新たな歴史も紡いでいる。
このように、東京との深い関わりと歴史、企業文化が広く知られるようになった事が今回のグランスタ東京への出店に繋がったのは間違いない。
本店同様に新店舗でも、半泥子が創設した半泥子廣永窯の食器を使い、伝統のブラックカレーをはじめ、松阪肉枝肉共進会 三年連続最優秀一等を受賞した津市一志町の伊藤牧場のA5ランク松阪牛や、鮑、伊勢海老など三重の食材をふんだんに使った料理を提供。
「東京の玄関口の東京駅には全国から人が集う。新店舗は〝美し国三重〟の情報を発信し、全国に知ってもらうチャンス。来店者の記憶の1ページに残る店にしたい」と話す。
131年の歳月を超えて老舗ののれんが結んだ今回の出店。大いに注目される。