「秋の蚊の油断もスキもない攻撃」 俳句みたいなものが頭に浮かんだが、これは川柳だろうか。はっきり言いすぎて風情がない。
秋の蚊は死に物狂い。洗濯ものを取り込むために少し外へ出ただけなのに、首筋に一匹、足首に一匹蚊が貼りついていた。我が家の周りにたくさんいる蚊は、イエカと呼ばれる種類だと思う。
蚊は卵を産むために雌だけが血を吸うと言われているが、イエカの仲間には血を吸わなくても一回は卵を産める蚊がいるそうだ。だから、この辺りに蚊が多いのだと納得する。あれほど多くの蚊を発生させるほど、この地区には人が住んでいない。
その蚊が、また寒さに強くて、秋どころか冬までも生きている。我が家は、一年のほとんどの季節を蚊と共存する羽目となっている。
しっかりと網戸を閉めていても、蚊はどこからか部屋の中に入ってくる。寝ている時に耳元でブーンと羽音が聞こえると、本当にイライラする。
どこかの国で蚊を不妊症にする研究がなされていると聞いた。蚊を媒介とする感染症対策として、遺伝子組み換えで不妊化した雄を散布し、蚊を生まれなくするという。
感染症の怖さを感じる今は素晴らしい研究に思えるが、突然変異など起こらぬかと心配にもなる。秋の蚊に刺されて、痒い痒いと言っているぐらいで終われば平和である。
(舞)